【D2Cブランドが語る】大切な人と地球に贈る優しいプロダクト

2022年3月、マルイ有楽町にて丸井グループ×talikiプレゼンツのインクルージョンフェスが開催されることが決定した。今回で3度目となるこちらのポップアップ。プロダクトを通じて、環境問題や国際協力に取り組む若手起業家たちを招き、それぞれのプロダクト設計や課題へのアプローチ方法について対談を行った。また今回はホワイトデー期間の出店ということもあり、贈り物としてのプロダクトという観点からもお話を伺っている。

【プロフィール】
・笠井 大輝(かさい だいき)
龍谷大学政策学部卒業。大学在学中に社会課題解決を研究するゼミに所属し、獣害被害を解決するために起業を決意する。2019年11月に同じゼミの仲間2名と株式会社RE-SOCIALを立ち上げ、京都府笠置町を拠点として、獣害を引き起こすシカやイノシシを食肉加工して販売する事業を開始した。ハラル認証を取得しているほか、最近は加工食品やペットフードの開発・販売も行っている。

笠井さんの過去インタビュー記事はこちら:

日本のジビエのイメージを変える。野生動物の命を生かすため師匠に学んだ技術とは
捕獲から販売までを一貫。シカを丸ごと活用し、獣害の削減と地域の活性に取り組む

 

・小泉 泰英(こいずみ やすひで)
宇都宮大学農学部在学中に米農家で働いたことをきっかけに、食と農をつなげる発酵の可能性に注目する。在学中の2018年5月に株式会社アグクルを創業し、発酵を次世代に伝えることを目指して発酵食品の製造・販売を行う。
小泉さんの過去インタビュー記事はこちら:

自然を僕らの手に取り戻す。日本の食生活を救う、発酵の魅力とは

発酵と美容、それぞれの文脈で麹を伝えたい。新たなブランド立ち上げの経緯に迫る

 

 

・高山 泰歌(たかやま たいが)
株式会社One NovaのCEO。慶應義塾大学環境情報学部4年生。中学の頃から「社長になりたい」という夢を持ってきた。大学1年生でOne Novaを創業。共同創業の金丸と2人で、Forbes 30under30 Asiaや、CAMPFIRE AWARD 2018のファッション賞を受賞。会社は創業4期目に入った。
高山さんの過去インタビュー記事はこちら:

3日穿いても臭わないパンツ。穿き心地へのこだわりや丁寧なコミュニケーションで、愛されるブランドづくりを

 

・中村 多伽(なかむら たか)
株式会社taliki代表取締役CEO。本対談のモデレーターを務める。

課題意識から生まれたプロダクトのこだわり

中村多伽(以下、タカ):最初に簡単な事業概要と、今回のポップアップで販売される商品について教えてください。

 

小泉泰英(以下、小泉):現代人のライフスタイルに合わせた形の発酵食品を製造・販売しています。一昨年からは「フードコスメORYZE」というD2C事業を始めました。発酵食品を通して腸内環境にアプローチしていくことで、美しさや健康を日々の生活で手にしようというブランドで、砂糖を使わずに米麹の甘さを使ったグラノーラなどを中心に展開しています。

 

笠井大輝(以下、笠井):RE-SOCIALは2019年11月29日“いい肉の日”に設立をした会社で、ジビエ肉の狩猟、加工、販売までの全工程を一貫して事業として行なっています。他にも鹿肉を使用したペットフードブランドと、鹿革を使用したレザーブランドを新たに立ち上げる予定で、今回のポップアップではお肉とペットフードと革製品を販売できればと思っています。

 

高山泰歌(以下、高山):One Novaは2つの下着ブランドを展開しています。メンズボクサーパンツの「ワンノバ」は「3日穿いても臭わないパンツ」として販売していて、主にアウトドアやキャンプなどで活躍してる商品です。もう1つは、女性の尿漏れや生理漏れを吸収できる機能的なショーツブランド「sponge」です。

 

タカ:それぞれプロダクトのどんなところに1番こだわっていますか?また、消費者の方が手に取ったときにどんなことを感じてほしいですか?

 

小泉:2022年は、「手軽に腸活といえばオリゼだよね」と想起してもらえるようなブランド認知を獲得していきたいです。腸活という言葉は聞いたことあるけどやり方がわからない人ってたくさんいると思うんですよね。そういう方々が腸活の入り口として気軽に手に取れるブランドになりたいので、味以外の世界観やデザインでも、いいきっかけになるようなタッチポイントを作っています。

 

笠井:僕たちは獣害被害を減らすために捕獲されたシカやイノシシの9割が、ただ山に捨てられていることに課題意識を持って事業に取り組んでいます。「捨てられるのはもったいないからせっかくなら食べよう」ではなくて、みなさんに「美味しく食べていただくため」に捕獲や加工にこだわっています。お肉の新鮮さを保つために、僕たちは生け捕りをした後に工場で血抜きを行い、素早く出荷処理をします。だから「生ジビエ」という商品は冷蔵でのお届けが可能なほど新鮮なんです。1度も冷凍されていない状態で、ジビエの持つ栄養素がフルで発揮されるような商品になっているので、こういった新鮮さを感じていただきたいです。

 

タカ:獣臭くて食べづらいといったジビエのイメージを払拭するために、捕獲から加工の段階までこだわっていらっしゃるんですね。

 

高山:僕たちの1番のこだわりはやっぱり生地ですね。今の世の中に出回ってるパンツはほとんど綿もしくは化学繊維でできてるんですけど、どちらもデメリットがあります。綿は柔らかくて気持ちいい反面、汗を吸ったらなかなか乾かなくて、化学繊維は逆にすぐ乾くし動きやすいけど、すぐ臭くなりやすいんです。あと人によっては化学繊維が肌に合わない方もけっこういらっしゃいます。対して僕たちは、新しい選択肢としてメリノウールとブナの木からできているモダールという繊維を混ぜた生地を作っています。シルクよりも柔らかく感じるような生地で、臭わない・蒸れないといった機能的な面も担保しつつ、素材は全てサステナブルな工程で調達しています。機能性とフレンドリーを両立した生地を使用していて、百貨店の方からも「珍しいですね」と言われます。だからポップアップでは、生地を触って柔らかさを体感していただきたいですね。

メンズボクサーパンツの「ワンノバ」

 

お互いのプロダクトをギフトとして贈るなら

タカ:プロダクトの魅力についてお聞きしたところで、それぞれのプロダクトをギフトで贈るとしたらどんな人に贈りたいですか?

 

高山:僕はORYZAEを腸活として共同創業者にあげたいなと思います。デトックスしてさらに美しくなるという意味も込めて。あとはトレーニングをしているので、赤身肉としてジビエを買いたいです。

 

小泉:ワンノバのパンツを一緒に旅していた友達にあげたいです。今は難しいですが、「また旅行できるようになったらワンノバを穿いて一緒に行こうぜ」という意味も込めてプレゼントしたいですね。ジビエについては、シカ1頭分のお肉ってすごくエンタメ性があるなと思っていて。例えば僕がサプライズで突然シカ1頭分のお肉をオフィスに届けたら、みんな驚いたり喜んだりしてエンターテイメントとして楽しめるなと思いました。

 

タカ:確かにシカ1頭はコンテンツ力がありますね。

 

笠井:僕はプレゼントというより、僕らのお客さんとの親和性という視点で考えました。高山さんがおっしゃる通りジビエは赤身肉100%で、鶏肉の栄養素も取りつつちゃんとお肉を食べている満足感が得られます。最近はアスリートやフィットネスに取り組まれているお客さんが増えてきたので、ワンノバのパンツと相性いいんじゃないかなと思います。あと僕たちのお客さんも健康に気を遣われている方、食を通じて環境や地域の課題に関わっていきたい方が多いので、その点で発酵食とも親和性が高いなと思いました。

アグクルの『フードコスメORYZE』

 

D2C 三者三様のユーザーコミュニケーション

タカ:みなさん素敵な商品をお持ちですが、D2Cはユーザーコミュニケーションや届け方も重要ですよね。マーケティングの側面で工夫されていることはありますか?

 

小泉:僕たちの商品を手に取ったことがない人に対しては、特に広報に力を入れています。広報はすればするほど効果があると感じているので、2022年は商品以外の文脈でもたくさんプレスリリースを出そうと思っています。

既存ユーザーに対しては、手書きの手紙を送ったり、公式アカウントのLINEやDMに来た連絡を担当者がかなりカジュアルに返信したりしていて、そこで密なコミュニケーションが生まれているなと感じています。あとはユーザーヒアリングで改良が決定したものに関しては、基本3ヶ月以内に改良してそのお客さんに「〇〇さんのご意見で改良しました」といったメールを個別で送っています。

 

高山:同じ腸活の商品でどんなふうに広報のネタを増やすんですか? 

 

小泉:「フレーバー追加」や「ユーザーのアンケート結果」など、商品開発からマーケティング施策に至るまで、小さいところも汲み取って全部プレスリリースで配信していこうという感じでやってます。

 

タカ:アプリのアップデートみたいな細かさですね。

 

小泉:そうですね。それを参考にしています。

 

高山:僕たちは広告を回す中で、キャッチコピーをいかに検証していくかを意識しています。これまで「3日穿いても臭わない」が1番刺さったのですが、なぜ刺さったのかユーザーインタビューしてみたらすごく発見が多くて。アウトドアシーンで使う方以外にも、40〜50代の年齢が少し高めの方々が買われていたんです。その方々が歳をとるにつれて少しずつ自分の体臭を気にかけるようになってきて、「3日穿いても臭わない」が刺さっていたようなんです。アウトドアを楽しまなくても、身なりを気にされているような経営者や医者の方などがもう1つのメイン顧客層だと発見できたのはすごく大きかったです。

今は他にも、ユーザーと似ている人たちをインスタ上で探して、パンツをプレゼントするギフティング施策をスタートしていて、反応が出始めたのでより強化していこうと思ってます。

 

タカ:キャッチコピーといえば、ワンノバは「3日穿いても臭わない」「冒険する人のひみつ道具」など、言葉遣いが本当に素敵だなと思うのですが、どんな過程で出しているんでしょうか?

 

高山:深く考えずに箇条書きで出したり、関連するキーワードを適当に頭の中で探したりします。あと、このパンツをアウトドア向けに売ろうと決めた時に、アウトドアでよく使われている言葉を知りたかったので、アウトドア系の雑誌一式を買って、よく登場する言葉に全部丸をつけていきました。そうしたら「冒険」とか「道具」という言葉がよく使われてたので、外からは見えないパンツをひみつ道具に見立てて、「冒険する人のひみつ道具」というキャッチコピーを作りました。

 

タカ:なるほど、言葉をよく探していらっしゃるんですね。笠井さんはそもそも日本人はあまりジビエに馴染みがないことから伝える工夫が必要なのかなと思うのですが、どんなことをされていますか?

 

笠井:キャッチコピーの流れでいくと、先ほど少しお話した弊社で一番人気の「生ジビエ」という商品のネーミングを工夫しました。ジビエは捕獲したら冷凍ストックしておいて、発注があったら古い順に発送するのが一般的なのですが、僕たちは生きたまま捕獲をして一時的に飼育することが可能なんです。発注があってから解体をして出荷するので、いわば受注生産のような形です。1番新鮮なものをすぐに届けるというこだわりをどうやったらうまく表現できるかを考えて、「生ジビエ」という新鮮さを彷彿させるような名前をつけました。

ユーザーコミュニケーションでは、すべて自社で完結することしかやっていないので、お客さんから要望があったものはすぐに作って一週間後には販売することもあるぐらい、要望をすぐに反映させる姿勢を大事にしています。あとは僕たちもメッセージ機能で密な連絡を取り合ったり、手書きの手紙をつけたりしていますね。 

 

タカ:以前talikiメンバーで「生ジビエが食べたい」と盛り上がったとき、笠井さんに連絡したら「今日捕れたんで明後日送ります」というリアルタイムな返信を頂いて、これぞD2Cだと思いました。

RE-SOCIALが展開する『やまとある』の鹿肉

 

EC・対面・卸、それぞれのチャネルに合わせた販売戦略

タカ:ポップアップではみなさん店頭に立たれると思いますが、対面とECで売り方の違いはあるのでしょうか?

 

笠井:ECの場合は、僕らが行なっている全ての工程がどれだけお肉の品質を向上させているかをシンプルに発信しています。一方対面では、事業背景に関心を持たれる方が多いので、社会的意義や僕らのこだわりを熱を持って伝えるパターンが多いです。あとはその場の立ち話でいろんなヒアリングをして次に繋げられるところが対面の特徴かなと思います。ちなみに卸売りも同じで、顔が見える取引でありたいので基本的に僕たちが配達をするようにしていて、配達先のお店の方からお客さんの反応や提供方法を聞いたり、「こういう使い方できたらいいよね」といったお話も聞いたりしています。

 

タカ:顔が見えるからこそ話してもらえる内容もありますよね。小泉さんと高山さんはいかがですか?

 

小泉:ECは世界観を大事にしつつ、顧客データがある上に高利益も見込めるので、お客さんの購入状況によって訴求を工夫しています。対面に関してはファン形成の機会と捉えています。また卸やオフラインの店舗は無料のインプレッションだと思っています。その上製造量が増えるので、原価が改善されて結果的にECの利益率が上がります。全てのチャネルを一括して考えると、原価率の改善も期待できるなと感じています。

 

高山:昔は対面で手売りすることもありましたが、最近はリソースがなくてなかなかできていません。でも、代わりに百貨店さんからの声がかかるようになってきたので、下着売り場を持っている百貨店さんに卸すことで社外からの信用度がだいぶ高まりましたね。あとは、ECで買ってくださった方がたまたまオフラインの場で僕たちの商品を見つけてくださることもあって。百貨店などのオフライン店舗に置かれていることで、お客さんからの信用度もECのみより高まるのが嬉しいです。メリットが多いので、今後はもう少しオフラインでの露出を増やしたいなと思っています。

 

ブランド側との交流や商品の良さが体感できる機会に

タカ:最後に、今回のポップアップではどんな人に来てほしいですか?また、インクルージョンという意味合いも踏まえて、来てくださった方に伝えたいことはありますか? 

 

小泉:お客さんと直接話せる機会なので、うちの商品を気になってはいるけどECで買うのは抵抗があるという方に来てもらいたいです。もちろん普段買ってくださっている方にもお会いしたいですし、ポップアップでしか買えないものを作っていきたいなと思ってるので、そういうのをきっかけに交流が生まれたらいいですね。

 

笠井:弊社は本社が京都ですが、実はECでは6〜7割が関東圏のお客さんなんです。何度もリピートしてくださっているような方もいらっしゃるのですが、これまで1度も関わりを持てていなかったので、今回リアルでお会いできたらいいなと思います。あとはインクルージョンという意味で言うと、僕らは今サークルオブライフという概念を持っていて、「生態系の輪に立ち返りましょう」ということを謳っています。普段食べているお肉をジビエに変えることで、自分たちが生態系の輪に入ったり、どこかの農家さんを応援していることになったりするんです。美味しいお肉を食べていただきたいのはもちろん、生態系を守るという意味合いでも、ジビエを週の何回かは取り入れていきませんかと伝えていきたいです。

 

高山:一般的にソーシャルグッドな商品って、「本来であればもっといいものがあるけど、社会にいいからこっちを買う」という感じで我慢するシチュエーションも多いと思うんですよね。僕たちが昔作った商品もどちらかと言うと我慢の要素があったんですけど、やっぱり商品の良さを感じてもらうことのほうが大事だと思うようになってきて。商品の良さを感じていただきながらフレンドリーな背景も知ってもらえたら嬉しいです。

株式会社RE-SOCIAL https://www.resocial-kasagi.com/
株式会社アグクル  https://agcl528.com/
株式会社One Nova https://onenova.jp/

【未来の変化のために「今」を耕す将来世代たちが、有楽町マルイの“インクルージョンフェス2022春”に出店!】

有楽町マルイ 1F カレンダリウム
3月8日(火)~3月14日(月)
11:00~20:30 ※最終日は19:30まで

さまざまな社会課題解決に取り組む企業6社が期間限定POPUPを開催いたします。起業家たちが紡ぐ「未来のスタンダード」を、商品を通してのぞいてみませんか?ぜひこの期間に、有楽町マルイへお立ち寄りください!

詳しくはこちら:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002854.000003860.html

 

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writer

張沙英

餃子と抹茶大好き人間。気づけばけっこうな音量で歌ってる。3人の甥っ子をこよなく愛する叔母ばか。