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家出少女を保護した話

中村 多伽 2017年12月7日
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中村多伽

京都大学総合人間学部文化人類学専攻。カンボジアへの教育支援、ニューヨークへのビジネス留学や現地の報道局でのインターン、舞台・映画・ライブへの出演等を通して、「マスを変えること」に興味を持つ。taliki代表。

*

先日、家出少女を保護した。

 

事の経緯は、後輩からの突然の連絡。

 

「助けてください。家にいられないです。」

 

彼女はいわゆる構ってちゃんでも依存体質でもなく、人一倍周りに気を遣うタイプだというのを知っていたので、「そんな、あの子がこれはマズイ」と思いとりあえず自分の家の近くに呼び寄せた。

 

彼女が家出を決心した理由は、母親との喧嘩だった。

たかが喧嘩で、と思うかもしれないが、「親との確執」というのはめちゃくちゃ根深い。

彼女はなぜ家出しなくてはいけなかったのか。

彼女のメッセージはなんなのか。

 

「母親は、私を理解できないんです」

彼女はずっと言っていた。

 

親に怒られないように、「やりたい」ことではなく「できそう」なことを常にしてきた彼女。

それでも問題なかったのだ、今までは。彼女にとって、そうやって生きるのが一番賢いことだった。

 

しかし大学に入ってから「自分の生きたいように生きる人」に多く出会うようになり、彼女は悩むようになる。

「私は何がしたいんだろう?どう生きたいんだろう?」

 

そして、今までとは違う、「未知」に挑戦し始める。

それは彼女にとってインターンだったり、海外旅行だったりするのだが、そのような様々な挑戦を通して、彼女は「今まで会ったことのないような人に出会えて楽しい。もっと出会いたい」と思うようになる。

 

しかし彼女の母親にとって、それは理解の範疇を大きく超えることであり、自分の「管轄外」から飛び出そうとする娘に対してネガティブな感情が沸き起こっていく。

その中で娘の方も「何でやらせてくれないの?」不満を募らせていく。

 

そして、ついにお互いの不満がぶつかり合い、彼女は家出をした。

 

「ああ、わかるなあ」

彼女が話してくれたあと、私は自然とそう呟いていた。

 

わかる。超わかる。お母さんの気持ちも、娘の気持ちも、めちゃくちゃわかる。

2人とも、人間なのだ。

でも、今回は私も同じ娘として、家出娘に肩入れをしようと思う。

その前に、母親の気持ち

私はまだ子供を産んだことがないので、母親という役割としての気持ちがわかるわけではない。けれども、お母さんも人間だ。人間の気持ちは、なんとなくだがわかる。

 

人は、様々な決心を経て、子を持つという選択をする。

そこから大変な10か月と10日の長い長い妊婦としての旅路を歩む。

いざ産まれたと思えば、一秒でも目を離せば死んでしまうかもしれない命がすぐ目の前にあり、自分の資本すべてをつぎ込んでなんとか生かしていく。

 

子供が様々なライフステージを迎えていく中で、「私の育て方が間違っていたら、この子が不幸になるかもしれない」「これで本当に子供の為になるんだろうか?」と毎日葛藤する

「○○ちゃんのお母さんはこんなことまでしてる」「ダメな母親って思われないようにしないと」

自己犠牲なんて簡単な言葉では片付けられないほどに子供に様々なものを注ぎ続け、子供が幸せそうにしている瞬間を何よりも嬉しく思う。

 

子供はそんな莫大な投資を無意識的に享受し、1人で生きてきた気になっている。

いっちょまえに「ひとりでできるもん!」と反抗し、家を飛び出す。

 

「私がうまくやれなかったから、こんなことが起きるんだ」

 

ああ、なんて報われないんだ。親って大変だ。

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WRITER

中村 多伽

京都大学総合人間学部

文化人類学専攻。カンボジアへの教育支援、ニューヨークへのビジネス留学や現地の報道局でのインターン、舞台・映画・ライブへの出演等を通して、「マスを変えること」に興味を持つ。taliki代表。

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