taliki×CAMPFIRE Angels。真に課題解決のための調達をサポートする

“社会課題の解像度”が、サービスやプロダクトの質を分ける

ー投資家から出資したいと思ってもらえる、上手なPRのコツを教えてください。

中村:キャピタリストによって見ている部分は本当に様々で、VCの特性によっても評価点が異なるので、必勝フレーズみたいなものはないというのが前提ですが、私たち自身の投資基準でお話をさせていただくと、”社会課題の解像度が高いかどうか”という点を特に大事にしています。これは、課題についてやそれによるユーザーが被っている”痛み”について、どれくらい理解の精度を上げているかということです。この”解像度の高さ”がサービスやプロダクトの質に大きく影響すると思っていて、資金調達をすればサービスやプロダクトが完成するというわけではないんですよね。逆にお金をかけなくても、無料のページビルダーを使って事前検証をしたり、無料でアンケートを取ったりすることで課題への理解を深められますし、検証をしっかりしている起業家はいい起業家だなと思います。田中さんは何かありますか?

田中:起業家さんと一緒にクラウドファンディングのプロジェクトを作る中で「このプロジェクトは成功するな」と思うのは、解決したい課題と解決のためのビジネスモデル、それを提供していくビジネスモデルに一貫性がある時ですね。投資家やユーザーにもその一貫性は伝わりますし、逆に一貫性がないと思った時は、「課題と解決策のどっちがずれてるのかもう一回考えてみましょう」みたいなコミュニケーションをしたりします。場合によっては相談してきてくれる段階でビジネスモデルができていなくて、一緒に作っていくようなこともありますね。そこまですると私たち側の経済合理性は度外視になっちゃうんですけど(笑)。

中村:手厚すぎる!そこまでして応援したいと思わせる起業家さんには何か特徴があったりするんですか?

田中:そこまでやるとなると、やっぱり創業者の想いの強さが大きいです。話を聞いていて、「この人本気だな」と思わせられると応援したくなります。それで、「この人本気だな」と思わせる基準っていうのは、中村さんがおっしゃっていた”解像度の高さ”なんだと思います。

中村:確かに、想いの強さって、あからさまな”熱血さ”とかではないんですよね。特にシード期で、これからどうなるかまだまだ分からない段階で投資の決め手になるのって、「放っておいても一生この課題の解決に取り組むんだろうな」と思わせるかどうかだと思います。質問いただいたPRのコツというところに落とし込むと、今までその課題についてどれだけ考えてきたか、10年後や20年後の社会になぜ自分たちのサービスやプロダクトが必要なのかについて伝えて欲しいですね。それで「この人本気なんだ」と思わせれば、投資家からの好感度は上がるんじゃないかと思います。

 

社会課題解決ベンチャーの資金調達事例

ー社会課題解決ベンチャーの資金調達事例を教えてください。それぞれ投資されている会社さんの事例や、クラウドファンディングでの調達に成功した事例など教えていただければと思います。

中村株式会社ブイクックというヴィーガン料理に関する事業をやっている会社さんへ、2021年の3月にtalikiファンドから投資をしました。代表の工藤くんは、気候変動と動物倫理の観点から16歳の時にヴィーガンを始めて、魚や肉だけでなく卵や乳製品も食べない生活をずっと続けてきたんです。そんなタイミングからヴィーガンを続けていて、一生続けようとしている姿に執念を感じますし、応援したいと思ったんです。

ヴィーガンって正直反発もある事業領域で、「ヴィーガンなんか意味ないよ」みたいな反応もたくさんあるんですよね。彼はそういう人たちに対しても、対立しようとするのではなくて、うまく合意形成をする道を探っていて。例えば少しでもヴィーガンを取り入れやすくするためにはどうしたらいいかとか、今ヴィーガンを実践している人たちがどうしたら楽に続けられるかとか、常に考え続けているんですよね。事業成長もしていて、ヴィーガン市場自体3年間で2倍くらいになっているんですが、ブイクックさんに関しては人に投資したという気持ちが強いです。

左:株式会社ブイクック代表の工藤さん

 

田中:私の中で最近印象的だったのは、株式会社鳶浩工業という会社さんの事例ですね。目標額が1,000万円のところ、5時間くらいで達成して、最終的に2,460万円を集めました。ビルの解体工事をずっとやってきた会社さんなんですが、ビル解体の現場ってものすごく事故が多いんです。解体している中で鉄柱や柱が倒れてきて、たまたま外を歩いている人が怪我をしたり、現場の中でも作業員の方が亡くなったりということがかなり頻繁に起こっていたんですよね。そこで自分たちがやってきた安全性を担保するシステムを、小さな現場でも簡単に導入できるくらいにコストと手間を削って、拡販を目指したプロジェクトでした。結果として目標額よりもたくさんの資金が集まったのも凄いのですが、この会社に投資をするために、解体業者や鳶業者や建築業者さんといった同業者さんたちがCAMPFIRE Angelsに登録をしてくださっていたんです。ビル解体現場の安全性について課題意識を持っている人たちを巻き込んだ、大きな運動が起こったというところで、CAMPFIRE Angelsとして特徴的な事例になったと思っていて。CAMPFIRE Angelsを通じてスタートアップに投資をしたいというモチベーションの投資家さんたちと、「この会社に投資したい」という特定のモチベーションを持った人たちの両方から出資が集まるというのが、クラウドファンディングの強い部分だと思っています。

株式会社鳶浩工業の代表取締役の小林浩二さん、工務部長の中野裕介さんのインタビュー記事はこちら:
革新的な独自技術で、解体工事現場に安全をもたらすCon-Techカンパニー「株式会社鳶浩工業」募集企業インタビュー

 

親和性の高い投資家が見つかるコミュニティへ

ー最後に、このウェビナーの趣旨にもなるのですが、株式会社talikiとCAMPFIRE Angelsの提携が決まったことによるメリットについて教えてください。

中村:先ほどもお話ししたように、今後社会にとって絶対に必要な事業をやっているのだけれど、talikiファンドからは投資できない案件というのが存在します。例えば、「今はまだVCからの調達をしない方がいい」という判断になるのもありますし、そもそもVCと一緒に数年でEXITを目指すようなモデルではない会社さんも今までにお会いしてきました。今回の連携によって、talikiファンドからは出資ができなくとも、CAMPFIRE Angelsさんに紹介してクラウドファンディングでの調達ができるようになるというメリットはあると思います。

それから、先ほど社会起業家ならではの調達における困難についてもお話ししましたが、親和性の高い投資家を探すことは起業家にとって時間的・精神的コストが大きいんですよね。例えば投資家を回る中で、「それって儲かるの?」みたいな質問をされるかどうかって、結構大きいじゃないですか。そこのコストを、親和性の高い投資家が集まるCAMPFIRE Angelsというプラットフォームを使って下げつつ、talikiもご一緒して応援できることは大きなメリットだと思います。

田中:CAMPFIRE Angels側から見ると、今まで社会課題解決型のベンチャーを多数支援されてきたtalikiさんから、ノウハウやコミュニティのご提供をいただけるのはメリットに感じます。それから、クラウドファンディングという”個人からのお金”と、VCの”企業からのお金”の両方でスタートアップを支援できることにも意義があると思っていて。色々なセクターで協調して、スタートアップ支援を進めていきたいですね。具体的には両方からの出資であったり、ラウンドを跨いだ投資のご紹介などをやっていければと考えています。

 

株式会社CAMPFIRE Startups https://campfire-startups.co.jp/

CAMPFIRE Angels https://angels.camp-fire.jp/

 

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writer

掛川悠矢

記事を書いて社会起業家を応援したい大学生。サウナにハマっていて、将来は自宅にサウナを置きたいと思っている。

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