【COM-PJ卒業生対談】寄り添いが生まれるtaliki起業家支援の魅力(後編)

昨年末、京都リサーチパーク株式会社と株式会社talikiが共同で行った社会起業支援プログラム「COM[坤]-PJ(以下COM-PJ)」。今年度も3ヶ月に渡るプログラムの開催が決定しました。第1部では参加者たちがCOM-PJで価値を感じたところや、コミュニティとしての魅力を伺いました。第2部では参加者たちがプログラムへの参加のを決めた理由や、実際に取り組んだ事業の内容、大変だったことにフォーカスを当ててお届けします。

【プロフィール】
澤 海渡(さわ かいと)
早稲田大学教育学部4年(休学中)。COM-PJ参加前はボードゲームのサブスクリプションサービスをを検討していたが、現在はイマーシブノベルゲーム*という没入型のコンテンツを製作中。
*くわしくは澤さんのnoteをご覧ください: https://note.com/alterna_qreator/n/n1c07b00745a2

 

土井 仁吾(どい じんご)
神戸大学経営学部4年(休学中)。現在は子どもを対象とした食育ワークショップを行うなど、もともと関心のあった食の分野で活動している。

 

近藤 大翔(こんどう たいしょう)
京都大学大学院修士2年。COM-PJでは働く人がいきいきと働ける社会を目指して、アルバイト採用サービスを構想した。

 

原田 岳(はらだ がく)
株式会社talikiインキュベーションチーム。COM-PJには運営として参加している。本対談ではファシリテーションを務める。

(左から近藤さん、土井さん、澤さん)

【COM-PJとは?】
社会課題の解決を目指し起業したい25才以下の方(創業1年未満、起業準備中など)を対象とした、支援プログラムです。仲間たちとの毎週の進捗報告会の他、経営者やVCなどの豪華メンターからのフィードバック、講演会などが毎月開催されます。

プロジェクトでのテーマと現在の活動

原田:COM-PJ終了から半年くらい経ったけど、みんな今はどうしてる?プロジェクト中に取り組んでた事業と一緒に、現在の活動の紹介をお願いします。

 

土井:僕は、子どもがなかなかご飯を食べてくれないことに悩んでいるお父さんお母さんを助ける食育の事業をしたいなと思って、子どもたちが食に関心を持てるようなカードゲームを開発していました。今はそのゲームを使って、小学校や児童館で子ども向けのワークショップを実施しています。活動をしているうちに行政の方に興味を持っていただくことができて、神戸市や灘区と一緒に何かやっていこうというフェーズです。完全に個人事業主として活動していて、法人化するかどうかは悩んでいる点です。

 

:現在は、イマーシブルノベルゲーム(Immersive Novel Game)というサービスを提供しています。参加者がキャラクターになりきって物語を進めていくゲームです。キャラクターになり切ることで自分を表現したり、潜在的な欲求を叶えたりするお手伝いができればと思っています。

実は、プログラム前はボードゲームのサブスクリプションサービスを考えていたんですが、現在の事業の形になるまでに3回ほど事業を変更しました。自分がやりたいこととズレを感じたこと、そして事業としても上手くいきそうにないと考えたからです。”社会課題の解決”というマイナスのものをプラスにという観点でずっと事業を考えてきたのですが、僕が本当にやりたいのは”人の幸福や欲望を叶えてあげること”だと思って、イマーシブルノベルゲームにたどり着きました。

 

近藤:僕は、働く人がいきいきと働ける社会をつくることをテーマに、主に飲食店に存在している課題に注目しました。最終的には早期離職を防ぐようなアルバイト採用サービスというアイデアで発表しました。

では、COM-PJ終了後に何をしていたかというと、起業を諦めて就職活動をしていました。COM-PJや他の起業プログラムを通じて、他の参加者との熱量の差に「これは勝てないわ」と感じてしまった部分もあって、起業することにビビってしまったんです。僕の中では逃げてしまったなという悔しい思いがあるので、いつかは起業したいという気持ちを持ち続けていますが、まずは会社員として頑張ります。

 

 

参加のきっかけや動機

原田:そもそもみんなは、どうやってCOM-PJを知ってくれたの?参加を決めた理由も合わせて教えて欲しいな。

 

僕はボードゲームのサブスクリプションサービスが事業として上手くいくのか検証、フィードバックをもらって資金調達までできればいいなという動機で参加しました。社会課題解決を軸に、アクセラレーションをやってるところがないかなと探していてCOM-PJに辿り着きました。結局、最初の事業からは大きく転換したこともあり、資金調達までの道のりはまだまだですけどね(笑)。

 

土井:たまたまTwitterに流れてきたのがきっかけでした。株式会社ブイクックの工藤くんが同じ大学なんですけど、同じ食の分野で事業をしてるし、工藤くんもtalikiのプログラムに参加していたことがあるって知っていたので興味を惹かれました。僕の中では、「あなたの優しさが社会に接続される3ヶ月」というキャッチコピーも良くて。他のビジコンやプログラムも探していた時期だったんですけど、どうも「ガツガツ起業!ビジネス!」という雰囲気が苦手で迷っていたんです。なので、COM-PJの”社会課題解決”や”優しさ”に惹かれて参加を決めました。

 

原田:知らなかった。コンセプト覚えててくれたのは嬉しいな〜。

 

近藤僕はアイデアは何もなかったけど、とにかく行動を起こしたいと思って参加しました。当時も就活をしていたんですけど、夢を語る一方で行動や経験が伴っていないよねというようなことを人事の方に言われて。確かにそうだと思ったし、自分でも行動を起こしたいなと思ったんです。事業について何も決まっていないから、ある程度事業作りの枠組みの決められた起業プログラムがいいなと思って探していたときに見つけたのがCOM-PJでした。

 

原田:みんな参加時のフェーズや動機が違って面白いな。

 

 

プログラム中に大変だったこと・後悔していること

原田:事業づくりで大変だったことやもっとこうしておけば良かったと思うことはある?

 

:僕はやっぱり事業を転換するのが大変でした。課題解決の型を当てはめるのではなく自分のやり方で事業づくりをすることになったので。世の中のセオリーを一旦全て捨てるという選択をするのは重かったですね。

 

原田:自分のやりたいことをやっていこうと思ったきっかけは何だったの?

 

:COM-PJの運営の方から「やりたいことやりなよ〜」って言われたのはもちろん、同時期に事業メンバーや他のプログラムの方からも同じことを言われていたので。ちょうどあれが僕の転換期だったと思います。

 

土井僕はヒアリングにもっと時間を割けば良かったなと思っています。個人的には量より質を大切にしたいと思っていたので、ずっと同じお母さんに話を聞き続けることを意識していました。100人に話を聞いてそこからペルソナ像を作り出しても、それって自分が作り出した理想的なペルソナ像になっちゃうんじゃないかと思って。それなら実在する人の悩みに寄り添い続けようと思っていました。でも事業づくりって当たり前だけどヒアリング以外にもたくさんやらなきゃいけないことがあるじゃないですか。どこで作ってどこで売るかみたいなことも同時並行で考えないといけない。それもあってヒアリングに時間が割けなかったかなと。もっと深掘りできていれば、もっと違うアプローチの仕方もあったかもしれないので、それは悔いが残っている点です。

 

原田:やらなきゃいけないことが多いし、難しい点だよね。

 

土井:何でもかんでも自分1人でやろうとしていたのも良くなかったかもしれないです。自分ができないことはもっと参加者や運営の方を頼って、自分はヒアリングに注力する形にしていれば、検証のサイクルを2回3回と増やせて、より良いプロダクトが作れていたんじゃないかと反省しています。

 

近藤:大変だったことはあるけど後悔したことはあまりないです。ちゃんと頑張り切れたなという感覚があるので。ただ、最初に設定したテーマを途中で変更するのは難しいなと感じました。僕は最初の段階で飲食店にターゲットを絞ってしまったので、ヒアリングも飲食店の方ばかりに実施しました。でも途中で、僕がやりたいことって飲食店の採用課題ではなく、働く人のメンタルヘルスみたいな部分を解決していくことだよなって気付いたんです。本当はそこに向けてアプローチしたかったけど、ヒアリングなど数を積み重ねて、事業の根拠としていく必要のある工程を前半で行ってしまっているので、プログラム期間中に大きく方向性を変えることはできませんでした。なので、最初にテーマを設定するときに、もっとしっかり考えれば良かったなと思います。

 

原田:最初にビジョンの深堀りがもっとできていたら良かったのかな。

 

近藤:そうですね。プログラムの期間を考えて、自分の中でやりたいこととそれまでの取り組んできたことの折り合いをつけている部分はあったと思うので。

 

原田:この対談を通じて”ズレ”がどこにあるか早い段階で気付けるといいなと改めて思った。3人とも大きさやタイミングは違うけど、自分のやりたいことと解決したいことのズレに悩んだという話が出てきたしね。

そこでといってはなんですが、今回のCOM-PJでは、参加者のみなさんが自己理解を深められるコンテンツを追加しました。100問以上の質問に答えてもらうことで、その回答から自分がどういう特性なのかをデータで分析できる”個人レポート”に取り組むとともに、自分の事業作りの動機や奥底の感情を深堀るワークショップを取り入れる予定です。これによって、潜在的な自分の特性を知ることができるし、僕たちもそれぞれに合った方法でサポートできるようになると思っています。

 

:いい!僕もそれ受けたかったな〜(笑)

 

 

参加を迷ってる人、参加を決めた人へ

原田:対談の時間もそろそろ終わりが近づいてきました。最後にCOM-PJ卒業生であるみんなから、参加を迷っている人やプログラム参加を決めた人へのメッセージをお願いします。

 

:東京からでも参加できます!!!(笑)。

僕は普通のアクセラレーションプログラムだったら途中で無理になってたタイプだと思うんですが、COM-PJでは自分の向き合いたい方法で自分が本当に作りたいものに向き合えました。自分が叶えたいことに徹底的に取り組める場所だと思います。だから、自分にビジネスが向いているかどうか分からないという人や解決したい課題があるけどどうすればいいか分からないという人はぜひ参加するといいと思います。事業についてだけじゃなく、自分の本質的な部分に寄り添ってくれる環境なので、安心して参加してください。事業を進めていくときに、全然うまくいかないこともあると思うんですけど、COM-PJは「ぴえん」と言えば「ぴえんだねえ」と返してくれる優しい関係性のある環境でもあります(笑)。

 

土井ターゲットに徹底的に寄り添う覚悟を決めて価値のあるものを作っていってほしいです。これは僕のプログラムでの反省と自戒の意味が込められているのですが、もっとヒアリングでターゲットに向き合うことができたという気持ちが大きいので、参加を決められた方はぜひ覚悟を持ってガチで挑んでください。

 

近藤:僕は起業と就活で悩んでいる人にこそ参加してほしいなと思っています。僕みたいに参加後に就職の道を選んだとしても、どちらにするか立ち止まって迷っている段階からは一歩前に進めたのかなという感覚があるので。逆に起業の道に進む人は、3ヶ月もやればそっちでやっていこうという自信を持てると思いますし。そういう判断の材料としてぜひCOM-PJを活用してほしいです。

最後に参加を決めた方へのメッセージなんですけど、プログラムに集中できる環境づくりが大切だと思います。ただ参加するだけだとあまり意味がなくて、自発性を持って取り組むほうが何倍も学びになりますし、「今週何もできていません」が肯定される環境だからこそ、自分自身で目標を設定してそこに向けてやり切れるかどうかが最重要だと思います。意気込みや覚悟を持ってやり切ってください、応援しています。

 

【COM-PJとは?】
社会課題の解決を目指し起業したい25才以下の方(創業1年未満、起業準備中など)を対象とした、支援プログラムです。
仲間たちとの毎週の進捗報告会の他、経営者やVCなどの豪華メンターからのフィードバック、講演会などが毎月開催されます。
参加費は無料です。詳細はこちらのリンクから!
https://www.talikikrp.work/

 

また、6/11(金) 19:00-20:30にオンライン説明会を行います。
プログラムの説明に加え、COM-PJ運営が社会課題解決サービスのビジネスモデルを紹介し合う「ソーシャルビジネスモデル大全」企画も!
ご興味のある方は以下のフォームからご応募ください。
https://t.co/wAqjvZ3ZYy?amp=1

 

writer
細川ひかり

生粋の香川県民。ついにうどんを打てるようになった。大学では持続可能な地域経営について勉強しています。