300円で通える塾。込められた思いとは?

他者に受け入れられることが自己を受け入れることにつながる

−話は変わりますが、山田さんは自己肯定感の低い人に会った時、その人たちにどんな生き方をして欲しいと思うんですか?

実はあまりなくて。自分が嫌だと思う生き方をしなければいい。自分で自分の生き方に納得できるか、受け入れられるかというところは大事ですね。

あるとき、定時制の高校にいく機会があって、ある印象的な女の子に会ったんです。

とにかくめちゃくちゃだったんですよね。両親二人とも血が繋がっていない。家庭内暴力を受けてきたとか、いじめを受けてきたとかで、誰にも受け入れられた経験がない。

でも大人になる時に高校くらい出ておかないと、と、一生懸命バイトして定時制の高校に行ってるという子でした。皆みたいに大学に行ってみたいけど、とてもそんなことが出来る状況じゃないと。

その時僕は一回生だったけど、その子に何も言えなくて

奨学金とかあるよ、なんて方法は頭の中にはあったんですけど、本当に何も言えなかったんです。

自分が恵まれた環境にいるから、色んなことに対して「出来るかもしれない」と思えるけど、ここまで成功体験がなく、受け入れてくれる人もいないと、自己肯定感の沸き起こりようがない。

とにかく無力でした。

でも、その子との話が終わった後、「まじでなんも出来んかったな」と思って肩を落としていると、その女の子が話しかけて来たんです。

「さっきは言えんかったけど、自分のこれまでの話をあんまり言ったことなかったから、言えてよかった。何も変わらんと思うけど、ちょっと頑張ってみるわ。ありがとう」って言われたんですよね。

その時に「つながり」って(自己肯定感を養うにあたって)特に大事だな、と気付きました。誰かとつながることが、その人の自己肯定感や、ひいては希望につながる。

僕自身にも「受け入れられることで、自己肯定感を得られた」という経験がいくつかあるんです。

例えば、小学校の時。関西で生まれて転校を繰り返していたんです。友達を作るのが得意で、やんちゃで元気なTHE関西人みたいな感じで東京行ったんですけど、班内をげらげら笑わせていたら、クラスの子に「ウケ狙い」と呼ばれて。その時、「どこでも個性を発揮していいわけではないんだ」と気づき、内向きな性格になった時期がありました。

そんな中、5年生の時に自然学校のキャンプみたいなものに行った時、そこに来ていたお兄ちゃんやお姉ちゃんめっちゃ面白いしめっちゃ仲いいし、お調子者の部分をすごく可愛がってもらえたんですよ。転校する時に色紙もくれて、「寂しい」とか書いてくれて。

そうやって受け入れられた経験そのものが自信になったことがあって。つながりの中で誰かに受け入れられた経験があったからこそ、その部分をつくっていきたいと思っているんです。

―山田さんの中で「自己肯定感」を因数分解したときの「受け入れられるつながり」というのはかなり大事なんですね。何も凄いことをしていなくて何も成功していなくても「いるだけでいいんだよ」っていう自己肯定感ってすごく大事だなって思います。私も自己肯定感が低い人間なので大変響くお話です。

そう。よく日本とスペインが比較されていて、日本は能力は高いけど自己肯定感は低い。スペイン人は何もできなくても自己肯定感が高い。スペイン人は生まれた時から無条件に肯定されてきていて、母親は「あなたは生まれてきただけで世界から祝福されているんだよ」みたいなコミュニケーションをとるらしくて。

日本でも、スペインほど極端でなくとも、そのような自己肯定感を育むことができる文化をつくっていきたいなと思っています。

―間違いない!一緒に作っていきましょう。今後はどのようにしていきたいですか?

そうですね。僕は「教育で子ども一人ひとりを包摂する」ということをビジョンの一つにしていて、教育で排除される子どもがいる現状が不満なので、子供それぞれの理想や関心、個性に基づいた学びができる場所や機会、プラットフォームを作って広げていきたいというのが将来の夢です。

―すばらしい!応援しています。最後に、私たちのメディアはコンセプトとして「社会課題をもっと身近に、楽しく、カジュアルに」というのを掲げているんですけど、山田さんは社会課題を身近にとらえるにはどうしたらいいと思いますか?

うーん、ぼくは自分の活動は自分のためにやっているんですよね。「昔の自分はこれが嫌だった」「こんなところに生きづらさを抱えていた」という負の感情があって、それを正の感情に変えて自分が生きやすい社会にしたい、というモチベーションで活動しています。結果として社会問題に取り組んでいるだけですね。だから自分のために生きていればいいのでは、と思います。笑

課題解決しようと思ったきっかけって、「自分が課題の当事者だった時に誰かに助けれた経験」があると思うんですよね。だからそういう連鎖が続いていけばいいな、と思っています。

ーなるほど、今日は素敵なお話をありがとうございました。暖かい記事になりそうです。

 

インタビュワー:中村多伽(taliki)