夢を叶えること。言い訳を作らないこと。「アルケミスト」が教えてくれる挑戦の教訓とは
世界で最も読まれた本の一つであり、1988年にブラジルの小説家パウロ・コエーリョにより発表された「アルケミスト」は、手に取ったことがある人も多いでしょう。
久々にアルケミストを読んだら、「夢をもって挑戦する人に刺さりまくる💡」と感じたので、あらすじとポイントを共有します。
もくじ
あらすじ(参照:Wikipedia)
スペインの羊飼いの少年サンチャゴは、偶然出会った王様メルキゼデックに導かれ、ピラミッドにあるという宝物を探しに行くことを決意する。
ピラミッドがあるエジプトに向かい海を渡ったサンチャゴであったが、直後、盗賊の少年にお金を騙し取られてしまう(サンチャゴは作中で3度も無一文になる)。そのため、サンチャゴは1年近くクリスタルショップで働くことになる。
月日が経過し、十分なお金を貯めたサンチャゴは再びスペインに帰って羊飼いに帰るつもりであったが、王様からもらった二つの石「ウリム」と「トムミム」を見て考え直し、再びピラミッドに向かうことを決意する。
キャラバンとともに長い砂漠を越えようとする途中、錬金術師を目指すイギリス人と知り合いになる。彼はオアシスにいる錬金術師に会うためにはるばるやってきたという。
オアシスに着いた一行は、部族間の戦争のため、オアシスでの滞在を余儀なくされる。そこでサンチャゴは、「前兆」を見てその意味を読み取り、オアシスの危機を救う。このことでオアシスの錬金術師から認められたサンチャゴは、錬金術師とともにピラミッドへ向かう。
サンチャゴは、困難に負けずに前進し続けることで、より強く賢くなり、生きることの意味を見出し、伴侶を得て、宝物にたどり着く。
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全くビジネスのヒントになるようには思えないあらすじでしたが、具体的に出てくる内容が非常に示唆に富んでいるので、この後もう少し読み進めて頂きたい。
自分の運命は自分で決められる
王様は少年に、羊飼いになった動機を聞いた。少年は”旅をしたいからだ”と答えた。
王様はパン屋を指差して言った。
”あのパン屋の店主も子供の頃は旅をしたがった。しかしパン屋の方が羊飼いより立派な仕事だと思った。あの男は年をとったら旅をするつもりだが、自分の夢見ていることをいつでも実行できることに気づいていない。結局人は自分の運命より、他人が羊飼いやパン屋をどう思うかという方が、もっと大切になってしまうのだ”と。
💡好きな事で生きていく事は出来るはずなのに、大人になる過程で現実や他人からの視線を持ち、自分が出来るはずがないという思い込みで避けてしまい、夢をあきらめて小さくまとまっていると言われてギクッとくる人は少なくないでしょう。
他方、やりたいことを追求した人で、成功している人は実際にいます。
ソフトバンク孫正義氏、Facebookマーク・ザッカーバーグ氏、テスラのイーロン・マスク氏、Appleの故スティーブ・ジョブス氏などは例外中の例外かもしれませんが、彼らがビジョンを懐疑的に掲げ、自分の運命を実現することは不可能だ、と思い込んでしまっていたら、成功は不可能だったでしょう。
自分の人生は他人によって決められるのではなく、自分が決めるのです。
理性と感情を両立させる
ピラミッドに旅立つ少年に対して王様が話をする。
「世界で最も賢い男」から幸福の秘密を探ってくるよう言われた若者は、とある賢者の宮殿を訪れる。賢者は二滴の油が入ったスプーンを男に渡し、「スプーンの油をこぼさないように宮殿を二時間散策するよう」伝えた。
若者は宮殿を散策し終えたが、油に気を取られて宮殿の素晴らしさを味わえなかった。再度宮殿を散策して素晴らしさを味わうものの、今度は油がどこかへ消えてなくなっていた。
“「幸福の秘密とは世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ」とその世界で一番賢い男は言った。”
💡渋沢栄一流に言えば論語と算盤(利潤と道徳を調和させる経営哲学)、もっとわかりやすく日常にあるいえばトレードオフ(例えば、理性と感情、短期と中長期、インプットとアウトプット、生産と消費、生と死、企業利益と顧客満足度など)の両方を意識することと、仮に片方に寄ってしまっては本末転倒になってしまうことを、賢者は示唆しています。
行動をしないと何も始まらない。成功するためには失敗を恐れてはならない。
“少年はイギリス人が彼のテントの外に自分でかまどを作ったのを見て、びっくりした。それはとても奇妙なかまどだった。まきで火を焚き、かまの上には透明なフラスコが熱せられていた。
イギリス人が砂漠をじっと見つめるとき、彼の目は本を読んでいた時よりもずっとキラキラと輝いていた。「これが仕事の第一段階だ」とイギリス人が言った。「僕は硫黄を分解しなければならない。それを成功させるためには、失敗を恐れてはならないのだ。『大いなる作業』をやってみるのを避けていた第一の理由は、失敗を恐れていたことだ。僕は本当は十年も前に始められたことを、今やり始めたのだ。二十年間も待たなかっただけ、少なくとも僕は幸せだよ」”
💡イギリス人は錬金術師になるために、難しい本を読んできました。実際に窯でフラスコを熱する作業を始めたのは錬金術師を目指してから十年も後でした。失敗を恐れずに行動をしないと結局何もできずに人生は終わってしまう。考えていても行動をしないと何も始まらないという事をここでは示唆しています。
夢を追っているときはプロセスすら輝いている
宝物を探す旅も終盤に差し掛かります。旅の途中で愛に気づき、富を得て、少年は何度も満足しそうになります。しかしその都度、周りの人の支援により宝物を追う事を継続できます。旅の終盤、錬金術師との対話を通じて、少年は気づきました。
”僕が真剣に自分の宝物を探している時、毎日が輝いている。それは、一瞬一瞬が宝物を見つけるという夢の一部だと知っているからだ。本気で宝物を探している時には、僕はその途中でたくさんのものを発見した。それは羊飼いには不可能だと思えることに挑戦する勇気がなかったら、決して発見することができなかったものだった。”
夢を持った人間の成長物語
”お前の心に耳を傾けるのだ。心はすべてを知っている”
”お前が何か欲するとき、宇宙全体が協力してお前を助けてくれる”
のフレーズが本書に幾度となく出てきて、主人公の意思決定の後押しをします。
💡主人公は宝物を探す旅を通じて、様々な試練に遭いますが、都度試練を克服し、深遠な知恵に到達し、人間として成長していきます。
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「夢」という言葉は壮大であると同時に稚拙な印象を受けるかもしれません。何故ならば子供の頃と異なり、普段の生活でなかなか使わない言葉だからです。しかし夢を目標に置き換えてみたら、一気に内容が現実味を帯びてきませんか?
アルケミストからは「つい他者の目を気にして諦めてしまったり、何かと言い訳をして遠ざかってしまった」目標の設定や達成にむけた考え方をふんだんに学べます。まだ読んだことがない方は是非とも手に取って頂き、既に読んだ方も自分に刺さるポイントが変わっているかもしれませんので、久々に読んでみてはいかがでしょうか。
書き手:辺境
大手IT企業で海外事業の経営企画・経営管理を8年勤めたのち、マーケティング系スタートアップにてバックオフィス全般を担当し、その後talikiにジョイン。世界一過酷なレースと呼ばれるサハラマラソン完走したほか、キリマンジャロ山登頂、ソマリランド訪問や南極訪問をしてきたアウトドア派。に見せかけて実はインドア。ドゴン族、読書、料理が好き。
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