
「アフリカにおける人材開発・ 紹介ビジネスの可能性」調査概要
もくじ
調査背景
本調査は、弊社が提供している「TOKYO SOCIAL COMMUNE」の社会起業家支援プログラム「RISE」でのメンタリングの質向上のために主にプログラムメンターへの情報提供を目的に実施された。アフリカでの教育および人材開発、人材紹介事業の展開を目指すプログラム参加者のニーズに対応するため、人材の教育から紹介までを展開するビジネスモデルの成功事例、再現可能性の検証が求められたことから調査の実施が決定された。
調査概要
調査では、アフリカを中心とした新興国におけるIT人材開発・紹介ビジネスの現状と可能性を、先行事例の収集及び分類によって整理した。先行している事例を収集している中で、1)富裕層向け、2)低・中所得者向け、3)貧困層・高校生向けの3つのターゲットによってサービス形態が異なることが明らかとなった。そしてこの3つの層それぞれによって所得だけでなくスキルやニーズも異なっており、それに応じて異なるビジネスモデルが構築されていることが確認された。
1. 富裕層向け(受講者の自己負担型)
高度なスキルを持つエンジニアが、アメリカや欧州のグローバルテック企業へ就職することを目指す支援が中心。受講料は高額であるが、質の高い指導・メンタリングが提供される。代表的な企業は以下。
代表例:
Outtalent(米国):新興国出身のトップクラスエンジニアをGoogle等へ就職支援
Scaler(インド):インド国内外の若手エンジニア向けハイレベル訓練
Simplilearn・upGrad・NIIT(インド):ITスキルの認定・資格取得支援
2. 低中所得者向け(訓練費用無償型)
企業負担・投資家支援型のモデルが主流。採用企業や支援団体が研修費用を負担し、高度な訓練後に欧米・中東企業へ派遣・就職を実現している。
代表例:
Andela(ナイジェリア):選抜型育成後、米企業へリモート派遣
Turing(米国):AI駆動のグローバルマッチングプラットフォーム
3. 貧困層・高校生向け(無償基礎教育)
貧困層への支援事例は少なく、主にプログラミング教室レベルに留まる。政府や非営利団体の支援が中心となっている。
代表例:
AmaliTech(ガーナ・ルワンダ):ドイツ政府支援の実務型訓練
WeThinkCode_(南アフリカ):企業スポンサーによる無料集中訓練
Re:Coded(広く中東に展開)
Laboratoria(ペルー):紛争地や低所得女性対象のブートキャンプ
ビジネスモデルの特徴
「育成→紹介」型はマネタイズ手法も多様で、①企業からの契約料、②ODA・助成金、③スポンサー投資、④受講後の成功報酬型(ISA)などが混在。アフリカでは特に社会的インパクトと雇用創出を重視するモデルが展開されている。
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執筆
taliki シンクタンク事業部 リサーチャー 上野裕太郎・野田裕紀
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