家出少女を保護した話
コラム

家出少女を保護した話

2017-12-07
#子育て・家族

”毒親”かもしれないお母さん、どうか自分を許してあげてください

じゃあ、親はどうすべきなのか?

 

一つだけ私が”子供代表”として確実に言えることがある。

それは、

「自分がちゃんとしないと子供はちゃんと育たない」と思う必要なんてない、ということだ。

 

家出娘を保護した際、彼女のお母さんと電話で話した。

「色んな人に迷惑かけて勝手なことして、私の育て方は間違ってますか?」

はい、とも言えない、いいえ、でもない。

 

どの人生にも正解なんてないのだから、育て方に正解なんてあるわけもない。

他人に一切迷惑をかけずに生きてきた人間なんてこの世にいない。

 

「完璧にならなきゃ」と思うかもしれないけど、完璧な人間なんてこの世に存在しないわけで、子供も青年期にもなればそんなこと分かってくる。

 

お母さんも完璧ではない人間なんだ、でも、人間としても尊敬できるし、お母さんがいなかったら今の自分はありえなかったな、と子供は頭ではわかっている。

確かに、管理しなければ子供は失敗するかもしれない。

けれども、親の幸せの価値観が子供にとっても幸せとは限らない。それに他人は思い通りになんてならない。それはたとえ自分の子供でも、だ。だから、子供が失敗するのも、傷つくのも、決してあなたのせいではない。

むしろ、傷ついてこそ、失敗してこそ、強くなれる。

その中で本当に誰かに支えてもらいたいとき、「私の言う通りにしなかったから失敗したんだ」ではなく、「よく頑張ったね」「どんなに失敗しても、私はあなたを愛してるよ」と言ってくれるシェルターが、子供にとっての”家族”であり”親”であってほしいし、そういう場所こそが、自ら人生を切り拓くために欠かせない出発点だと私は思うし、そうやって人を愛すること、人に愛されることを学んでいく。

 

だから、子供が反抗していても人様に迷惑をかけていても、「人間なんてそういうもの」なのだから安心してほしい。

そして、自分らしく生きようともがく素敵な子供を産んだあなた自身を、たくさんたくさん褒めてあげてほしい。

そして、幸せになろうと今日も頑張る我が子を温かく見守ってあげて欲しい。

*

その後。

 

「ちゃんと向き合います。」と置手紙をして朝に出ていった後輩から、「ダメでした」と連絡が来た。

ただ怒られ、人格まで否定され、心が死にそうだと。

親自身が自分と向き合うことそのものに時間を要するため、娘と向き合うことが出来るようになるのは、長い年月がかかるだろう。

 

せめてそれまでは、私たちが簡易シェルターになってあげたいな、と思った。

親が自身を許し、子を許すことで、子が自身を許し、他者を許せるようになるために。

 

全国の子供たち、全国の親御さんたちがどうかこれを読んで少しでも楽になれますように。

 

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