宇治を舞台に高校生・大学生が地域の課題を解決する事業をつくる。宇治市未来キャンパス最終発表会が開催されました
2022年12月10日(土)に産業支援拠点の宇治NEXTと本メディアを運営する株式会社talikiが主催する「宇治市未来キャンパス最終発表会」が開催されました。参加者が取り組む課題は、こちらの3つ。「観光客が商店街で消費するための仕掛けを考えよう」「茶づなで観光客が各観光地への導線となるアートイベントを12/3に設計しよう!」「街づくりに高校生・大学生が関わるためには何が必要か考えよう」。
まちを歩き、地域の方とコミュニケーションをとりながら、課題解決に繋がるアイデアを考えました。
もくじ
宇治市未来キャンパスとは?
宇治市を舞台に、多様な働き方を知り、地域課題を解決しながら、「将来こんなこと(事業)をやってみたい」を具現化する、起業・体験スクールです。
令和4年度については、地域の課題解決に関わってみたい、事業作りを学んでみたい高校生・大学生を対象に、地域の課題解決に取り組む3か月のプログラムを設定しました。15名の高校生・大学生が、地域の方へのヒアリングを通して宇治市の強みや課題を学び、事業経験豊富なメンターのサポートを受けながら、宇治市の課題を解決するアイデアの企画・実行に取り組みました。
HP:https://ujimirai-taliki.info/
なぜ地域の課題を解決するアイデアづくりに取り組むのか
受講生のほとんどは、「地域の活性化に興味がある」「宇治市を面白いまちにしたい!」など、地域を盛り上げたいとの想いで参加していました。
中には、「宇治市外で、高校生・大学生が主催するフリーマーケットを運営している」「大学の授業やゼミで地域の活性化に取り組む研究をしている」など、自分のフィールドで既に実践を重ねているメンバーも。
「彼らはなぜ、宇治市未来キャンパスに参加するのか?」。
彼らは口を揃えて、「持続可能なまちづくりには、事業が欠かせないと感じたから」と、真剣な眼差しで答えてくれました。
「持続的なまちづくりには、事業として継続的に地域に貢献しながら、課題を解決していくことが必要になると思うんです。でも、地域を活性化する事業の作り方が分からず、二の足を踏んでしまう方も多いのではないでしょうか。」
ある受講生からの意見に、宇治市未来キャンパスに参加する意義が凝縮されていたように感じます。
まちを歩き、人と話しながら課題を紐解く
「解決したい課題がたくさん!自分が一番解決したいものは何だろう?」
宇治市のことを知り、宇治市の課題を肌で感じるために、観光客と同じ目線でまちを楽しむフィールドワークを実施。
宇治市の事業者や住民の方々へのヒアリングを通して、さまざまな課題が見えてきました。
地域の事業者として宇治市を支える方、宇治で暮らしを営む方、行政の方など、さまざまな立場の声を知り、まちを歩く中で、自分が特に関心を持つ課題を見つけることができました。
参加者が感じた課題の一例は以下。
・宇治橋通り商店街には素敵なお店や場所がたくさんあるのに、若者が「行きたい!もっと見たい!」と思えるPRが不足しているのではないか。
・平等院鳳凰堂や抹茶などのコンテンツはあるものの、家族連れで楽しめるところが少ないのではないか。
・宇治の高校生・大学生が集まる場所や、面白い方に出会える機会が少ないのではないか。
どれも地域活性化に取り組む方が共感する課題なのではないでしょうか。
これらの課題を解決するアイデアを作るため、それぞれがアクションを起こしました。
喜ばれるアイデアを試行錯誤して、実行する
課題の発見方法、仮説検証の手法など、事業立ち上げのプロから講義を受けて知識をインプットしながら、「自分の感じる課題を解決する企画をどのように作るか?」を丁寧に突き詰めていきます。運営側との1on1やグループでの会議、地域の方へのヒアリングなどを重ね、自分なりの検証項目を設定し、受講生全員が「やってみたい!」をカタチにして、プロトタイプ検証を実施。
受講生が取り組んだアイデアはこちら。
<宇治市未来キャンパス・アイデア>
1.宇治橋通り商店街で高校生の交流スペースを作る(立命館宇治高校)
2.宇治の知られざる飲食店・良い場所を動画で発信(N高等学院)
3.宇治の見どころをInstagramで発信(京都明徳高校)
4.茶づなで「おしゃピク」(同志社大学)
5.宇治橋通り商店街を盛り上げる、アートベンチの制作・設置(龍谷大学)
6.「宇治検定」で宇治に詳しくなろう!(同志社大学)
7.宇治フォトイベントの開催で、魅力を収める(京都大学)
8.宇治のコアファンを獲得して、発信する媒体をつくる(同志社大学)
9.謎解きスタンプラリー(龍谷大学)
10.茶づなInstagramで魅力を広く発信(京都文教大学)
11.輝く住民インタビュー!地域の人も知らない魅力の発信(奈良県立大学)
12.小学生と街歩き探検!宇治の魅力紹介マップづくり(京都大学)
13.宇治の魅力を知るツアーの企画(龍谷大学)
14.地域の若者が集う場をつくる(龍谷大学大学院)
企画を実行・発表して見えたこと
最終発表会は、ゲストに宇治市長・松村 淳子様、宇治商工会議所会頭・山仲 修矢様、審査員に以下の方々を迎え、アイデアのブラッシュアップや今後の活動に向けたフィードバックをいただきました。
・株式会社taliki 代表取締役CEO 中村 多伽
・宇治橋通商店街振興組合 代表理事 佐脇 至 様
・認定NPO GLOCAL CENTER 代表理事 行元 沙弥 様
・お茶と宇治のまち歴史公園(茶づな) 主任学芸員/コーディネーター 中畑 伶威 様
参加者のみなさんの熱意あるプレゼンに、審査員の方々も深く感銘を受ける、素晴らしい時間になりました。
審査員からは、高校生・大学生の背中を押す前向きなコメントを多くいただき、和やかな雰囲気の中でフィードバックが行われました。
「すごく楽しみにしていた。一人一人がより良くしていきたいという姿勢と、熱意があったのが素晴らしい。いろんな事業者に協力をしてもらって、『できない』より『どうやったらできるか』を考えてみて、今後の活動に活かしてほしい。」
「それぞれの発表が全て素晴らしかった。宇治橋通り商店街に関わるアイデアばかりで、いろんなアイデアをリンクできると思った。継続もぜひしてほしいし、なんでも協力していきたい。」
「時間がなかったと言っていたが、短い期間でこれだけアイデアを出して発信から実行までしていて、正直びっくりした。これを続けるだけでも活性化にすぐつながっていくだろうし、宇治の商店街だけでなく、宇治全体の発信につながっていけたらという期待がある。すごく良いプレゼンだった。」
「3ヶ月という短い期間で、『何を課題と捉えてどう実行するか』について行政でもやっている企画プロセスを実行しているバイタリティがすごい。面白い課題の見方だなという新しい発見があった。500点満点つけたい。コメンテーターのコメントがポジティブなものからもっとこうしたらいいというものまであって力をもらった。学校で学べないものをここで学んだというのは『未来キャンパス』という事業の目的が叶ったと感じている。」
宇治に新しい風が吹いた、期待感が溢れる意味のある1日になったのではないでしょうか。
3ヶ月という短い期間で、「何を課題と捉えてどう実行するか」を深く考えて実践したことで、参加者自身の大きな成長にもつながりました。
学校で学べないものをここで学べたということは「未来キャンパス」という事業の大きな強みだと、運営側も感じています。
3か月の伴走支援によって、丁寧な事業づくりやアイデアを形にする手法を学び、地域の方々と近い視点で地域活性化に取り組めた、素晴らしい機会となりました。
writer
後藤奈津美
自然に囲まれたり海の見える場所でのんびり過ごすことが好き。京都の隠れ家カフェに詳しい。
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