【トークセッション】BEYOND2021を終えて。社会起業家と大手企業社員が語る、社会課題解決への想い

10/3(日)に開催し、大盛況に終わった『BEYOND2021』。当日はSDGsの本質や、消費者・事業者としての取り組み方、その先の経済成長の捉え方などに関するトークセッションや、U25の社会起業家によるピッチ大会が行われた。本記事ではイベント後の10/12(火)に行われた『世界を変える優しい革命を〜BEYOND2021感謝祭〜』より、「ぶっちゃけBEYONDどうだった?」トーク企画の内容についてまとめる。

「BEYOND」とは?
社会課題解決に取り組むプレイヤーを支援する株式会社taliki主催のソーシャルイベント。これまで過去4回開催し、のべ1000人以上を動員。今回は「SDGs」をテーマに、多様なバックグラウンドの人と集まり、次の未来についてともに考えて行く場として京都リサーチパークにて開催。

 

▼CAMPFIREにてアーカイブチケット販売中
https://camp-fire.jp/projects/view/491565

【プロフィール】
とぅるもち
社会起業家支援プログラム「COM-PJ」参加者。性に関する情報を発信し始めたこときっかけに、同年代から性やパートナーシップについての悩みが寄せられるように。「だれもが大切な人としあわせでいられる社会」を目指す。BEYOND2021のピッチ大会にて最優秀賞を獲得した、セクシャルウェルネスブランド「mahoro」を運営。

 

・伊藤 正泰(いとう まさやす)
社会課題を学ぶ共創プログラム「ESSENCE」参加者。株式会社丸井グループ 共創投資部調査担当。2017年丸井グループ入社。店舗での販売、人事部採用課を経て2020年10月より現職で中長期トレンドのリサーチに携わる。

 

・原田 岳(はらだ がく)
株式会社talikiインキュベーション事業部。本対談のモデレーターを務める。

社会を変える本気のプレゼンに心が震えた、COM-PJピッチ

原田岳(以下、原田):みなさん、お越しいただきありがとうございます。本日モデレーターを務めます、原田岳です。よろしくお願いいたします。まずはお2人から自己紹介をお願いします。

とぅるもち:みなさん、こんにちは。とぅるもちと申します。普段は性に特化したカウンセリングをしたり、性についての情報発信をTwitterやInstagramで行っています。現在は、日本の女性がホルモンバランスや体調、不安や緊張からくる性交痛に左右されず、我慢しない性生活をパートナーと送れるようなサポートをしたいと思い、事業の立ち上げをしています。よろしくお願いします。

伊藤正泰(以下、伊藤)丸井グループ共創投資部調査担当の伊藤と申します。丸井グループの投資を行う部署で、中長期のトレンドをリサーチする担当をしています。世の中が今後どうなっていくのかについていろんな視点から調査をし、それを元に経営層の意思決定のサポートをしています。ちょっとかっこよく言ってみました(笑)。talikiさんとはソーシャル領域でさまざまな方をエンパワーしたいという想いが一致し、ファンド設立の際に出資させていただいたのがきっかけで、その後ESSENCEにも参加しました。本日はよろしくお願いいたします。

原田:ありがとうございます。早速トークに入っていきたいなと思うんですが、今回はとぅるもちが起業家、伊藤さんは会社員ということで、立場が違うお2人から「BEYOND2021ぶっちゃけどうだったの?」みたいな話を聞いていきたいと思っています。じゃあまずは、BEYOND2021で印象的だったこと、学びになったことを教えてください。緊張してそうな伊藤さんから(笑)。

伊藤:緊張しすぎでもうだめです(笑)。そうですね、1番印象に残っているのはCOM-PJのピッチです。あれだけ本気で社会を変えようとか、社会をもっと良い場所にしていこうと考えている方たちがいるという現実を、リアルに実感する経験は今までなかったので、その本気度に心震えました。その後COM-PJに参加していた方とお話させていただく中で、気合と覚悟と意志を持って活動されているというのをさらに感じて、本当にかっこいいなと思いました。同時に、「これは社会が変わるな」とすごく感じて、この社会の変革に乗り遅れるとやばいぞっていう気づきというか、危機感を持ち帰ることができたかなと思っています。

原田:お〜すごい。「社会が変わるな」というのはどういうタイミングで感じたんですか?

伊藤:COM-PJ参加者のピッチを見て、本気度が違うと感じたときです。世の中には「大企業が変わっていかないとね」という意見があると思うんですけど、企業を変えるのは結局”人”だなっていうことはずっと思っていて。社会を変えようと本気で思っている”人”がこんなにもたくさんいるということは、企業も変わるし社会も変わるということが必然的に起こってくるのかなと感じました。

原田:ちなみにどの人のピッチが1番心に響きましたか?

伊藤:とぅるもちさんのピッチが1番響きました。日本は性に関してもっとオープンにしっかりと話せるようになっていくべきだし、悩みを誰にも言えないことって、誰もしあわせにならないじゃないですか。そういうところを変えていきたいという思いにも共感したし、パートナー双方にとっての問題だと思うので、そこに切り込んでいけるサービスという点も心に刺さりました。

原田:とぅるもちはBEYOND2021で何が印象的だったかお聞きしたいです。

とぅるもちオフラインでの開催自体がすごく印象的で、いろんな人と直接話したり実際に商品を見たりすることができて、自分ごととして考えられた気がします。それと、トークセッションも印象的でした。私はもともと社会課題やSDGsについて関心があったわけではないので、トーク内容を聞きながら、これはちゃんと勉強しないと自分の中で咀嚼するのにとても時間がかかるなっていうのは1つ反省になりました。あと、今回ピッチ大会で優勝することができたのですが、参加前は正直、全く興味の範囲外にされるか、とても良い評価をもらえるかのどっちかかなと思っていたんです。でもそこで、良い意味で注目してもらえたのは嬉しかったですね。

COM-PJ参加者によるピッチ

 

原田:ピッチ後の反応はどうでしたか?

とぅるもち:大学時代の友達や普段そんなに連絡をとらないような人から、興味を持ったっていうようなリアクションがあったのが驚きでした。今までアングラな怪しい活動をしているって思われていたところもあったみたいで、1つ認めてもらえるきっかけになったのかなと。あと、会場で意外だったのは、ピッチ後に声をかけてくれたのがほぼ男性だったことです。

原田:さっき伊藤さんも言っていましたが、男性視点でもそういう課題感が強い人が多いっていうのがあるんですかね?男性がもっと詳しく聞きたいと思うのは、どういう動機なのかな。

伊藤:フェムテック領域の話は社内でもよく出るんですが、結局女性の身体の辛さとか気分の波などは男性が本当に体験することはできないし、頭ではわかっても咀嚼しきれない部分があると思います。自分が体験したことのない課題だからこそ、自分も解決のために何かできないかなってすごく思うんですよね。

原田:とぅるもちに声をかけてきた男性はどんなことを聞いてきたの?

とぅるもち:半数ぐらいの方は、実は今のパートナーとの関係に悩んでいるんですけど、どこに相談したらいいんですかねっていう感じで、あとの半数は自分も興味持っていた領域なのでお話してみたかったですっていう感じでした。

原田たしかに、男性は特に言える相手がいない、相談する場所がないっていうのはすごくありそう。面白いですね。

 

いろんな立場から社会課題解決に切り込んだ、トークセッション

原田:トークセッションについて、何か印象的だったことはありますか?

伊藤:2つ目の「許される経済成長について、今日から私たちに出来ること」というトークセッションが難しかったのが印象に残っているんですけど、所々わかるなっていうところもあって。例えば、徐々に情報が社会主義化しているとか、情報が画一的になりすぎているという話は、確かになと思いました。他にも、イシケンさんが言っていた、世の中には絶対的な正義があって、その上でみんなが善を追い求めているという話もすごく共感しましたね。以前、ある著名な起業家の方が、「ダイバーシティで1番大事なことはユニバーシティの部分だ」とおっしゃっていて、何か根幹にある”ユニ”、単一の価値観のようなものが共有された上でダイバーシティは成り立っていくということなんですけど。その話にすごく納得していたので、トークセッションでのイシケンさんの話には重なる部分を感じて、首がもげるくらい頷いてました(笑)。

原田:なるほど。ちなみにとぅるもちはさっきわからないことが多かったって言ってたけど、他にもたぶんそういう方たくさんいると思うので、ぜひアーカイブをゆっくり見てもらえたらなと思います。今日はその2つ目のトークセッションのモデレーターをしていたtalikiの中村多伽もいるので、多伽ちゃんの感想も聞いてみたいなと思います。

中村多伽:私は必死でモデレーターしてました(笑)。面白かったのは、3人とも方向性やポジションが明確に違ったことですね。例えば、熊野さんは社会課題に対して根本原因を見つけようとするスタンスを取っていて、だから全体を俯瞰して歴史や今の行動から本当に変えなきゃいけないものはなんだろうというのを見つけにいく感じ。一方でイシケンさんは、自分自身が起業家的に社会を変えるぞというよりも、なぜこれが起きるのか、どんな思想の文脈があるのか、どういう統計的なデータがあり何が予測できるのかというようなことを観察者として考えてらっしゃるんですよね。1つの原因を変えにいくというより、視点を増やすことでいろんな角度から選択肢の精度を高めるみたいな感じ。そして、工藤くんはワンピースのルフィみたいな強い正義感を持っていて(笑)。自分が乗っている船で自分が社会を変えるとしたら何ができるのかという視点で、参加者に1番近いような立場から、明日どういうことができそうかという話をしてくれました。工藤くんは自分自身や周りの人がマイノリティとして苦労してきた経験をどうやったら変えられるのかみたいな、現場感のある話が多かったのかなと思います。今のことを踏まえてアーカイブを見返してみると、過去/未来/現在、客観/主観みたいなそれぞれの視点でよりいろんな気づきがあるんじゃないでしょうか。

原田:ありがとうございます。今のコメントでアーカイブをもう1回見たくなりました(笑)。

 

社会課題解決に奮闘する仲間を見つけた

原田:次の話題にいくんですが、BEYOND2021を経て自分のアクションに変化はあると思いますか?

とぅるもち:セクシャルウェルネスという領域は最近かなり注目が集まってきていて、いろんなブランドが立ち上がってきているなと感じます。今回のピッチでも良い反応をたくさんいただけましたが、今の時点では本当に届けたい人にはまだまだ届けられていないという感覚があるので、これからそこは本当に向き合っていかないとですね。啓蒙するだけのサービスで終わらないようにしないといけないと改めて思いました。あと、性に関するコンテンツを適切に発信していくことはなかなかお金にならず、途中で諦めてしまう方も多いので、適切な形で発信するアプローチや、発信をする人を応援する仕組みをもっとみんなで考えていきたいと思いました。

原田:性に関することをどう適切に伝わるように発信していくかは、もっとみんなで考えたいですよね。伊藤さんはいかがですか?

伊藤:意識が変わったか変わらないかで言うと変わったんですけど、やるべきことは変わらないのかなと思いました。自分たちの企業活動を通してどういう世の中を作りたいのかということは、社内でしっかりと議論して思い描いていますが、それはトークセッションやCOM-PJのピッチの中で出てきた世界観と結局近しいものではあるなと。結果的にみんな同じところを目指しているので、やるべきことは変わらないですね。でも、その目指す世界観にどのくらいのスピードで辿り着けるかということは、どれだけ多くの人がそこに強い意志を持って携わってくれるかによって決まると思います。僕みたいに大企業にいる人間だからこそ、多くの人が周りにいるので、いろんな人を巻き込んでいかないといけないなと、新たなる決意を抱きました。

原田:当日は、ESSENCEで制作した”おじさん”ターゲットのショートムービーを流したりZINEを配ったりしましたが、ムービーを見てもらうことで企業内のおじさんは変わると思いますか?

伊藤:正直、ムービーを見ただけじゃ変わらないだろうなと思います。「賢い若者が頑張ってるな〜」くらいの話で終わりかねないなと。そこにプラス、それが若者ではなくても社内の身近な人が社会課題解決に向けて動いているのを見たり、さらに自分たちは社会課題を生み出すような事業をしてきたという自責の念を抱いたり、そういうことが重なり合って初めて行動を変えようと思ってくれるのかなと思います。だから、ムービーを見てもらうだけではなく、自分自身の社会課題へのアクションも見せて、それらが重なることで、大きなパンチが打てるのかなと思いますね。

ESSENCE参加者によるショートムービーの放映

 

原田:それでは、最後に参加者のみなさんに向けて一言ずつお願いします。

とぅるもち:今回アフタートークまで参加してくださって、ありがとうございます。私の取り組んでいるフェムテックや性に関するサービスは今すごく注目されているし、それは会場でも多くの方に声をかけていただいて感じたのですが、厳しいジャンルであるということは私自身も肝に銘じないとなと思っていて。改めてその認識を持った上で、より多くの人が取り組んでくれたらいいなと思います。BEYOND2021を通して私自身視野が広がったので、また落ち着いて感想や学びを文章に起こして、みなさんの意見もいただけたらと思っています。

原田:楽しみにしています!

伊藤:今までずっと社会課題解決をしようとするとしんどいときが多くて、社内でそういうプロジェクトを前に進めようとしてもなかなかうまくいかなかったり、周りの人との熱量の差を感じたり、1番動いて欲しい人が動いてくれなかったり。そういうしんどいことは多々あるんですけど、BEYONDの会場で、あれだけの人数が本気で社会課題解決をしたいと思っている、あんなに仲間がいるっていう、その事実が本当に心に残っていて。今後辛くなった時はあのBEYONDの景色を思い出しますし、それでも辛い時はいつでもtalikiさんを頼れる環境に全員がいると思います。またご縁があればぜひ声をかけていただきたいですし、必ずどこかでまたお会いできる方たちだと思っているので、これからもよろしくお願いいたします。

原田:2人の今後の活躍に期待してます!登壇してくださったお2人、参加者のみなさん、ありがとうございました。

 

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writer

堂前ひいな

幸せになりたくて心理学を勉強する大学生。好きなものは音楽とタイ料理と少年漫画。実は創業時からtalikiにいる。