サステナブルなライフスタイルをもっと気軽に。環境問題について考えるECサイトとは

「環境問題について考えるきっかけをとにかくたくさん作る」ことを掲げ、事業を手がける青木愛。「環境問題は世界中80億人全員に関わる問題だ」と気づいてから、もっと気軽にサステイナブルなライフスタイルを実現するためのブランドを立ち上げ、商品開発に取り組んできた。デザインから全て一人で手がける彼女に、商品開発の裏側や目指したい社会について聞いた。

【プロフィール】青木愛(あおき めぐみ)
株式会社スライバル代表取締役。学生時代に起業。「誰もが今日から気軽に始められるサステナブルなライフスタイル」の普及を掲げ、プラスチックフリーやリサイクル可能な商品を展開するブランド「Sustainable.(エスドット)」の運営やSNSマーケティング事業を手がけている。

環境問題は80億人全員の課題

—事業について具体的に教えてください。

株式会社スライバルでは現在2つの事業を行なっています。1つはSNSマーケティングやブランディングの事業、もう1つはプラスチックフリーのECサイトSustainable.(エスドット)の運営を含むサステイナブル事業です。今後は企業に対してサステイナビリティ化に向けたコンサル事業も行なっていく予定です。

 

—「Sustainable.(エスドット)」はどのようなきっかけで始められたのですか?

昔から社会問題には興味を持っていて、特にジェンダーの問題に興味がありました。15歳まで日本の女子校に通い、そのあとアメリカの高校に通っていたことや、自分が経営をしてきた中で学んだ経験から、日本でも女性がもっとパワフルに活躍できるようになってほしいという思いをずっと持っていました。しかし同時に、ジェンダーの分野でビジネスを始めることの難しさも感じていました。そんな中で福島で開催された世界から若手の社会起業家が集まるイベントに参加したんです。そこで世界中の起業家の方達が共通の課題として話していたのが環境問題でした。私もペットボトルをあまり買わないようにしようとか、レジ袋はもらわないようにしようとか気をつけてはいたものの、環境問題についてそこまで真剣に考えたことがなかったなと気づかされました。環境問題は世界の一人ひとり、80億人全員の課題なんだと気づいた時に、日本でももっと誰かが率先して取り組んでいかないといけないと強く感じました。自分が環境問題について真剣に考えられていない立場だったからこそ、もっと気軽に社会問題に取り組めるような方法はないかという視点が自分の中にあり、エスドットを立ち上げることを決めました。

 

—ブランドのコンセプトや大切にしている考え方を教えてください。

竹歯ブラシや生分解性のスマホケースなどの商品を扱っていますが、全てがプラスチックを利用していないか、リサイクル可能、または環境に配慮されて作られた商品となっています。包装にもプラスチックを使わないというルールを決めています。また、「購入した日からすぐに使うことができる」商品を集めている点も重要です。商品を購入して色々と準備をするっていうのはやっぱり面倒臭さがあるし、私自身もすごく苦手なので、みなさんが本当に気軽に「買うだけですぐに参加できる社会貢献」がブランドの大きなコンセプトとなっています。

ECサイトは自社の商品と他社の商品を両方購入できるセレクトショップにしています。このように商品をセレクトして販売しているのは、エスドットを「サステイナブル商品のamazon」にしたいと思っているからです。このサイトにきたら全ての商品がプラスチックフリーだったり、ビーガンだったりと環境にいいものが集まっていて、わざわざ自分でブランドごとに検索しなくても簡単に環境にいいものを購入できるようになることを目指しています。現在は自社商品が20商品程度で、今後30商品くらいまで増やしていきたいと思っています。

 

—どのような方が商品を購入されているのですか?

まず多いのはZ世代やミレニアム世代と呼ばれる若い世代ですね。そしてもう1つの層として30~50代の主婦の方がいます。この層の方々は、子どもや自分のためにいいものを使いたいというような健康への意識から購入される方が多いです。

 

日本人のライフスタイルに合った商品を

—商品の着想はどのように得ているのですか?

日本に比べて海外ではゼロウェイスト※やプラスチックフリーの商品を扱う店が多くあります。そのような商品を参考にしながら、日本のライフスタイルにあうものを作ることを心がけています。例えば、アメリカは車社会なので大きいランチボックスでも問題ないのですが、電車通勤が多い日本には適していなくて。日本人のライフスタイルに合って、これだったらみなさんに使ってもらえそうだなというものをピックアップしています。
※ゼロウェイスト…できるだけ廃棄物を減らそうとする活動のこと。

 

—エスドットの竹歯ブラシについて教えてください。

竹歯ブラシはブランドとして一番最初に作った商品です。私は15歳から海外に住んでいたのですが、近年では海外でよく竹歯ブラシを見かけることがあった一方で、日本ではあまり見たことがないということに気がつきました。海外から輸入したものだと1本800円ほどになってしまうので、私だったら消耗品の歯ブラシに800円もかけたくないなと思って。エスドットは「誰もが今日から始められる」という手軽さを大切にしているので、よりリーズナブルにしたいという思いと、誰もが毎日使うであろうものなのでマーケットも大きいことから、1つ目の商品として竹歯ブラシを選びました。

プラスチック歯ブラシの問題点として、まず燃えるゴミに捨てられて焼却されることで温室効果ガスや有害なガスが放出され、地球温暖化に繋がるという点があげられます。また、何かしらの形で捨てられたとしても様々なルートを通って細かくなったマイクロプラスチックと呼ばれる5mm以下の小さいプラスチックが海に辿り着いてしまうことが考えられます。プラスチックは500年から長くて1000年も分解されずに残ってしまうものもあると言われているので、プラスチックが年月をかけて劣化していく過程でマイクロプラスチックを魚が食べて、人間がその魚を食べるというような悪循環も生じると言われています。

現在エスドットの竹歯ブラシは中国で生産しています。輸出入やロジスティックにも燃料が使われるなど環境に悪影響があることから、本当はエスドットで扱う商品を全て日本国内で地産地消したいと考えています。しかし現段階では竹の種類や質など素材の面で日本で生産することが難しい状況です。それでもどうしても日本で生産をしたいので今でも方法を模索しているところです。

 

—商品の制作過程で特に大変だったことは何ですか?

現在私が全ての商品のデザインしているので、自社で歯ブラシをデザインする際はそこまで苦労しなかったんです。しかしコロナ禍でアダム・エ・ロペさんの30周年記念グッズとして竹歯ブラシのコラボ商品を作ったのですが、そのときは大変でしたね。中国で工場が全て止まってしまったり、輸出入が止まってしまったりと大きな影響がありました。

他にも舌クリーナーという商品があるんですが、これもコロナ禍での開発だったのでかなり苦労しました。中国の工場側も切羽詰まっている中でコミュニケーションを取るのが難しくて、パッケージと中身があっていなかったり、パッケージのデザインが勝手に変わっていたり。そんな大変な状況を乗り越えて開発し、8月に日本橋の高島屋でポップアップをさせていただきました。そこで舌クリーナーが一番人気だったので、頑張ってよかったなと思いましたね。

 

—お客さんからはどのような反応があるのでしょうか?

まず竹歯ブラシを初めて見るという方がすごく多いですね。ディスプレイとして置いてあるものを手にとっても何かわからず、「これ歯ブラシなんですよ」と伝えるところからコミュニケーションがスタートすることがよくあります。自然とコミュニケーションが生まれることで、目の前のお客様に「環境問題ってこんなに簡単で誰でも参加できるものなんだ」ということを伝えやすい商品だなと改めて思いますね。

また、私個人のSNSで環境問題についてシェアしているのを見た友人が「マイボトルを持ち始めたよ」などと報告してくれることもあります。事業としての規模はまだまだ小さく、どのくらいの影響があるのかわからない不安の中で進んでいますが、お客様の声や周りの人たちの声を聞くと、一人ひとりが周囲に与えられる影響ってあるんだなと感じます。エスドットで商品を購入してくださったお客様が周りの人に伝えることで影響の輪が広がっていくといいなと思っています。

 

環境問題について考えるきっかけを増やしたい

—次に作りたい商品はありますか?

クリスマスシーズンに向けてプレゼント包装をしたいなと思っていて。プレゼントにぴったりな高級感もあり、もらう方もあげる方も嬉しいようなパッケージをプラスチックじゃない何かで作りたいと考えています。プラスチックを使った包装の問題点として使用時間が短いことがあげられます。例えばレジ袋はスーパーで何か買ってそれを家に持ち帰るまでの12分間くらいしか使われないんですよ。もちろんゴミ袋などとして利用する人もいますが、用途は限られています。なので、ラグジュアリーだけど包装が別の用途で使えるようなものを次に開発したいと思っています。

 

—今後どんなターゲットに広げていきたいですか?

Z世代、ミレニアム世代と呼ばれる若い方たちはそもそも社会問題や環境問題に興味がある場合が多く、弊社の商品にも興味をもってもらいやすいと思います。なので、これから彼らがかわいいと思ってくれるような商品をもっと作っていきたいですね。それに加えて、やっぱり30代以上の方たちにももっと届けていきたいと思っています。結局、親の価値観が子どもの価値観になるというように、家族間で世代を超えて価値観は伝わっていきます。今子育てをされている方やこれから子育てをされる方が、健康にも環境にもいい安心できる商品を私たちのECサイトで買えるように商品開発やブランディングをしていきたいと思います。

 

—これから事業を通してどんな社会を作っていきたいですか?

日本は海外に比べてそもそも環境問題を考えるきっかけが少ないと感じます。だからもっとメディアやSNSを通して情報発信する人が増えれば自然に浸透するのではないでしょうか。海外ではエマ・ワトソンさんなど社会活動のリーダーとなるようなインフルエンサーが多くいます。日本でも最近はローラさんや水原希子さんが環境問題などについて発信されていて、少しずつトレンドにはなってきています。しかしまだ「何したらいいかわからないから、私は興味ない」って言われることもよくあって。インフルエンサーがやっているから真似してやってみようというファッション的に取り入れることがもっと広まり、さらにそこから少しずつ意識を変えていきたいです。

だからこそ私が事業を通して本当にやりたいことは、一人ひとりが環境問題について知って行動するきっかけを作るということです。それは商品でもイベントでも手段はどんな形でもいいのですが、とにかく良質な情報を提供する事できっかけをたくさん作ることが弊社のミッションだと思っています。

それを踏まえて今後取り組んでいきたいことは2つあります。1つは企業へのコンサルティング事業です。今はSDGsという言葉だけが先行していることも多く、そこに違和感を抱いています。または素晴らしい事業をしている企業がSDGs的観点から見た魅力に気づいていない場合もあります。事業の一部を少し変えるだけでSDGsに繋がるということがたくさんあると思うので、第三者の視点で企業に提案することを今後やっていきたいと考えています。

もう1つは学校教育と関わっていくことです。私が学生のころも地球温暖化などについては教科書に載っていましたが、それが実際にどのくらいリアルなのかとか、じゃあ次はどうしたらいいのかと言う具体的なアクションプランは学ぶ機会がありませんでした。環境問題は学ぶ必要のある深刻な問題になってきているので、学校教育に何かしらの形で関わり啓蒙活動をしていきたいと思っています。

 

株式会社スライバル https://www.thrival.jp/

Sustainable.(エスドット) https://sustainabledot.jp/

 

interviewer
田坂日菜子

島根を愛する大学生。幼い頃から書くことと読むことが好き。最近のマイテーマは愛されるコミュニティづくりです。

 

writer
堂前ひいな

幸せになりたくて心理学を勉強する大学生。好きなものは音楽とタイ料理と少年漫画。実は創業時からtalikiにいる。