耐久性とデザイン性に優れた草ストロー。「小さなエコな選択」で環境問題


幼少期から自然が好きで、海洋プラスチック問題をきっかけに環境問題解決を目指す大久保夏斗。ベトナムで栽培された草ストローを日本で販売している背景や、今後目指す持続可能な社会を聞いた。

【プロフィール】大久保 夏斗(おおくぼ なつと)
東京農業大学国際農業開発学科2年生。2020年5月、兄が出会ったベトナム人と共に草ストローブランド「HAYAMI」を設立。ベトナム産カヤツリグサ科の植物レピロニアを使ったストローを輸入販売している。日本の高いプラスチック消費量に注目し、海洋生物を守るため洋プラスチックを削減し綺麗な海、地球を維持するため奮闘中。

兄弟で始めた草ストロー事業


ーベトナムの草ストローを日本で販売するようになったきっかけを教えてください。

元々最初に草ストローと出会ったのは僕の兄でした。兄が大学時代にバックパックをしていて、ベトナムに行く飛行機の便で隣になった方がベトナム人で仲良くなったんです。彼は2年間日本に留学したことがある方で、ベトナムの草ストローの存在を兄に教えてくれました。帰国後、兄は僕に詳細を教えてくれ、僕の専攻である国際農業開発に繋がる部分もあり事業を始めようということで、僕、兄、教えてくれたベトナム人の3人でスタートさせました。

当時兄は大学を卒業することが決まっていたので、僕が代表を務めることになりました。現在兄は一般企業に勤める傍ら、土日に事業を手伝ったり、法律学部法律学科出身のため法律面でのアドバイスをしています。今も一緒に住んでいてお互いの性格も分かっているので、コミュニケーションが取りやすく、すごく仕事のしやすい環境ですね。

事業以外でも、兄は僕にとってすごくありがたい存在です。兄と僕は小さい頃から本当に性格が真逆なんですよ。兄は後先考える前に進むタイプで、僕はどちらかというと慎重派。僕の周りは兄弟と話さない友達も多いのですが、兄は先に自分が通ってきた道でよかったことや悪かったことを僕によくアドバイスしてくれるので助かっています。

 

ベトナムでの栽培地の様子

地球にやさしく、安全性の高い草ストロー

 

ー販売されている「草ストロー」の特徴を教えてください。

3つの特徴があります。1つ目は、プラスチック削減に繋がることです。今年の7月からレジ袋有料化が始まりましたが、最近プラスチック問題が注目され始めています。プラスチックストローの代わりに草ストローを使用することで、環境問題の解決に繋がればいいなと考えています。

2つ目は、農村支援です。ベトナムのホーチミン郊外で私たちが販売している草ストローの植物が栽培されています。貧困の農村地帯の方々が栽培する草ストローを、日本で極端に値段を下げずに販売し、彼らの収入向上に繋げたいと考えています。

特に現在は新型コロナウイルスの影響もあり、現地の取引先が少なくなってきています。その中で、僕たちは今年の5月頃に草ストローの販売を開始したため、彼らの収入源に貢献できていると思っています。

3つ目は、草ストローの成分と性能です。他のストローと一番違うことは、無添加無農薬の草でできていること。道端の草木と同じように分解されるため、庭や畑を持っている方は、利用後に土の中に埋めていただければ草ストローが数ヶ月で土に還ることができる完全自然由来・生分解性の商品です。また、紙ストローよりも耐久性が優れており、口触りや香りが苦手な方でも草ストローは利用しやすいと思います。

 

ー草ストローはどのように作られているんですか?

「草」と聞くと葉っぱを想像する方が多いんですけれど、実際は植物の茎でできています。構造としては、竹と同じようなイメージです。だいたい人の背丈を上回る植物の茎の中が空洞になっていて、ところどころに節があり、それをくり抜いて洗浄・乾燥・殺菌をして完成です。他のストローは機械を動かして製造するため、二酸化炭素をどうしても排出してしまいますが、僕たちの草ストローはベトナムで手作業で行い二酸化炭素排出も抑えられています。

 

ー草ストローの主な販売先を教えてください。

販売は基本的に弊社のECサイトで販売しています。購入されるのはオーガニックレストランや農園と併設しているカフェなど、主に飲食店の方々が中心です。最近では、個人で購入していただける方も増えました。購入者の方からは「意外としっかりしていて耐久性がいい」「見た目がオシャレで、お客様からすごく反響がいいです」といった声が届いています。

実際に飲食店で使用されている草ストロー

 

「小さなエコな選択」で環境問題解決へ

 

ー設立された会社、HAYAMIのミッションに込められた想いを教えてください。

僕たちは、「今日からできるちょこっとエコな選択を世の中に提供し続けることで持続可能な社会の構築を実現します。」をミッションに掲げています。僕自身この事業を始める前から環境問題に興味があり、自分に何ができることはないかなと思っていましたが、具体的にできるものが自分になかったんです。そんな中、偶然草ストローに出会い事業を始めることになったのですが、同時に環境問題に興味がない方でも草ストローを通じて環境問題に興味を持つきっかけになればと思いました。一人一人が日々生活の中で「小さなエコな選択」を繰り返していくことで、今後環境問題の解決に繋がっていくのではないかという想いが込められています。

 

ー興味があった環境問題の中でも、プラスチック問題から着手されたのはなぜですか?

僕が環境問題に興味を持ったきっかけが、ウミガメの鼻に刺さってしまったプラスチックストローを取り除く動画をみて衝撃を受けたことです。そこから調べていくうちに、海洋プラスチック問題という、2050年にはプラスチックのゴミの量が海洋生物の数を上回ると言われていることを知りました。これは日本だけではなく世界の問題です。しかし日本は国土面積が小さいにも関わらず、プラスチック排出量が世界第2位。プラスチックストローやプラスチック容器の規制がある欧米諸国や発展途上国と比べ、日本がかなりプラスチック問題に対して遅れていると知り、危機感を覚えました。

幼少期から公園で遊んだり、親にキャンプに連れて行ってもらったり、夏休みの自由研究ではゴーヤの栽培や昆虫研究をしたりしていたので、元々自然が好きだった影響もあると思います。


ー事業を始められて一番大変だったことは何ですか?

やっぱり一番は、新型コロナウイルスの影響で飲食店の方々が経済的に苦しい状況になったことですね。プラスチックストローと比べ、草ストローは10倍ほど値段が高い商品なので取り入れてもらうのが大変でした。営業する際のメールでも、私たちの販売している背景やストーリーをいかに理解してもらえるか工夫しながら販売しています。最近ではメディアに取り上げていただく機会も増え、興味を持ってくださる方も増えたと感じています。

もう一つは、安全性の保証です。草ストローは、ベトナムで栽培・製造し日本人が口にするものなので、衛生面の信頼を得ることが重要だと感じました。一般社団法人食品分析センターで実施される衛生検査を(ヒ素、重金属、ホルムアルデヒド、大腸菌群、一般生菌)行い通過しましたが、金銭面的にコストがかかり苦労しましたね。
日本の衛生検査を通過するために、一緒に始めたベトナム人とオンラインで日々コミュニケーションを取り、彼が現地で衛生管理マニュアルをベトナム語に翻訳して現地の工場に渡し、衛生管理を徹底しています。

販売されている草ストロー

持続可能な社会を目指して


ー今後目指している目標や創りたい社会を教えてください。

今年の目標は、現在飲食店の導入店舗数が70店舗ほどなので、年内に100店舗導入を掲げています。そして新型コロナウイルス収束後は、大規模にプラスチックストローが消費される音楽フェスや、大学の学食など、若者が興味を持つような場所に販売を促進していきたいと考えています。そして将来的には、草ストローの利用が当たり前になったり、プラスチック容器が必要でなくなったりするような社会になり、農村支援をしながら環境問題の解決にも繋がる、持続可能な社会を創りたいと思っています。

 

HAYAMI草ストロー HP https://www.hayamigrassstraw.com

interviewer

細川ひかり

生粋の香川県民。ついにうどんを打てるようになった。大学では持続可能な地域経営について勉強しています。

 

writer

河嶋可歩

インドネシアを愛する大学生。子ども全般無償の愛が湧きます。人生ポジティバーなので毎日何かしら幸せ。