国会議員に直接声が届く。社会の意思決定をつくる政治プラットフォームとは
インタビュー

国会議員に直接声が届く。社会の意思決定をつくる政治プラットフォームとは

2020-07-09
#政治

社会の意思決定をより良くするために、ユーザーと政治家を繋ぐプラットフォームを展開している伊藤和真。まだ解がない政治のサービスで「自分の人生をかけて本気でやらないと変わらない」と語る伊藤の洗練された事業のこだわりと、実現したい未来について聞いた。

【プロフィール】伊藤和真(いとう かずま)
慶應義塾大学4年生。大学入学後に俳句投稿アプリ「俳句てふてふ」で起業し、2018年春に毎日新聞社に事業売却。政治家に直接意見を伝えられる政治プラットフォーム PoliPoliを創業。政治家と直接意見交換ができたり、会いにいけたりするサービスを展開し「史上最高の政治プラットフォームをつくる」を目標に掲げている。

まずは社会に関心がある人への事業展開

ーPoliPoliは政治家さんに直接意見を言って政策を作れるプラットフォームとのことですが、PoliPoli設立の背景を教えてください。

1つ目は、自分がこういう「政策ごとで政治に参加できるサービス」があるといいと思ったからです。陳情やロビイングなどの手段を知らない人々にとっては、これまでは政治家さんに声を届けることは投票以外でほとんどできませんでした。そして、政策で政治家さんが評価される世の中を作りたいと思ったからです。
2つ目は、政治家さんに直接意見を届ければ届けられるほど、社会の意思決定をよりよくできると考えているからです。

ーPoliPoliでは、どういったユーザーを対象にされていますか?

何かしら社会に違和感がありそれを政治で解決できると思っている人、政治に興味がある人、社会には興味があるけど政治がそれと繋がっていない人を対象にしています。政治に興味ない人たちにも後々は使って欲しいと思っていますが、何も興味ない人たちを行動させることはすごく難しいことだと思うので、まずは政治や社会に関心がある人を対象にしています。12月にリニューアルしましたが、そこから現在は数万人の方々に使っていただきました。

ー実際のユーザーの方々はどれも良質なコメントをされていますが、何か意識していらっしゃることはありますか?

3つありますね。1つ目は全部のコメントに運営のチェックを入れていること、2つ目は政治や社会に関心がある人のみを対象とし、広げすぎないことです。そして3つ目は政策を取り上げる際に、分かりやすく解説しユーザーさんが論点を拾いやすいようにしています。
ただ、良質なコメントはまだ足りていないと思っていますね。政治家さんの政策立案や、政策を考えるプロセスになるような定性的・定量的な意見をもっと増やし、そういった質的にも量的にも良いコメントを政治家さんに渡さないとと思っています。

 

ユーザーの方々と一緒にサービスを作っていく

ーPoliPoliを使用されている政治家の方々へどのようにアプローチされているのですか?

最初は政治家さんの知り合いがいなかったので、とりあえずDMを送っていました。今は政治家さんの知り合いも割といるので広げていないです。そのため本当にありがたいことですが、PoliPoliのコンセプトに共感してくれ、サービスを一緒に育ててくれるような政治家さんが多いと感じます。だからPoliPoliには、普通のサービスであるような問い合わせフォームや登録フォームとかもないんですよ。僕の知り合いや、PoliPoliに連絡してきたみたいな人しか基本的に今は登録できないです。これはこだわりというよりも、今広げてもすごく満足できるサービスにはなりきってないと感じているので、政治家さんの登録者もユーザーも広げすぎないっていうのは意識しています。政治の分野でサービスにおいてはまだ解がないので、今はしっかりコツコツ、現在のユーザーと政治家さんに必要なサービスを届けることを一番大事に頑張りたいです。

 

ー現在ユーザーの方々とのコミュニケーションはどのように取ってらっしゃいますか?

「アンバサダー」というSlackのグループを作らせていただいています。今は450人ぐらいPoliPoliを応援してくださっている方々が入っておられ、そこで色々フィードバックをもらい、サービスの改善を行っています。あとは、僕らはユーザーへのアンケートやインタビューをすごく意識するカルチャーなので結構ユーザーとの接点を作っていますね。
ですが、そのサービスの改善自体も遅い感じはあるのでちょっと課題だなと思っています。サービスや現状の全てにおいて、現在は理想の1%以下ぐらいしかできていないイメージですね。サービスを広げたいし自分にもっとできることもあるんですけど、そこをぐっとこらえて、ちゃんといいサービスを作っていくことは自分との戦いだと思います。

ある政治家が発信している新型コロナウイルス政策

 

ーサービスをリリースして良かったなと思った瞬間や、嬉しかったユーザーさんの声はありますか?

ユーザーさんの嬉しい声を聞けるからサービスをやっています。経営をすることは凄く大変だと思うんですけど、そういった声を聞かないとやっていけないと思うことはたくさんありますね。どんな意見でもすごく嬉しいんですが、「政治家さんに声が届いて感動した」など言っていただけます。ユーザーに実際にインタビューした際には、「本当にすごく政治に声を届けたくて悔しい思いをしていた」と涙ぐんでおられた方もいて、そういうときに頑張りたいなと思いました。

 

ー学生の時から事業売却し現在も政治のサービスをされていますが、人生の意思決定において大切にしてきたことはありますか?

自分の人生のテーマは「自分と周りの幸福を最大化する」です。自分も幸せにならないといけないし、他の人を見て幸せな人と不幸せな人だったら、幸せな人を見ていた方がいいじゃないですか。この自分の中のテーマに沿って、大事なことを決定しています。
インターネットサービスを今作り続けている理由も、インターネットサービスを0から1に作ることは新たにその幸福を生み出す可能性があるからです。事業の成長スピードも大事ですが、ちゃんと自分や自分の一番近くでやっているようなメンバーの幸せも考えるようにしています。

 

PoliPoliを通じて「社会の意思決定をサポートする」

ー今後目指す政治の未来や社会に関して、PoliPoliでどのように実現させていきたいですか?

今の政治のシステムは基本的に社会全体で投票して政治家さんが決めているため、社会の意思決定だと思っています。その社会の意思決定をより良くするのが政治の役割だし、僕らも同じくインターネットの力を使って社会の意思決定をより良くするというのがすごく大事だと思っています。「社会の意思決定をサポートする」というのは普遍的な僕らのミッションでもありますが、その社会の意思決定をより良くするために、僕らは今PoliPoliを通じて「史上最高の政治プラットフォーム」を作っています。

実現のためには3つのフェーズがあると思っています。第1フェーズは現在の広げすぎず、より良いサービスを作っていくことです。
第2フェーズでは、ある程度広げつつも、特定のイシューに関して興味ある人たちが集まってくる段階です。例えば女性起業家を増やす政策であれば、女性起業家を増やす政策を応援できる人たちが集まり、ベンチャー企業を応援する政策であれば、その政策を応援できる人が皆集まってくるイメージです。
第3フェーズは政治に関わる人だったら、基本的に使っているツールになることです。例えば選挙の時に使われるとか、「政治に関わるアクションだったらPoliPoliでしょ」みたいなところまでいきたいなと思っています。

第2フェーズ目はこの1年〜5年ぐらいで到達し、第3フェーズは10年とかの単位で長期的に取り組んでいきたいと思っています。

PoliPoli https://polipoli-web.com/

 

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    interviewer

    田坂日菜子

    島根を愛する大学生。幼い頃から書くことと読むことが好き。最近のマイテーマは愛されるコミュニティづくりです。

     

    writer

    河嶋可歩

    インドネシアを愛する大学生。子ども全般無償の愛が湧きます。人生ポジティバーなので毎日何かしら幸せ。

     

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