【パソナの人に聞いてみた・続き】実際、社会問題ってどうやって解決するの?
《前回のまとめ》
「社会の問題点を解決する」ことを理念に掲げている株式会社パソナグループの子会社、株式会社パソナの加藤さん・鹽井さんのインタビュー。
東北の震災が起こったとき、加藤さんは東北へ赴き、問題解決のための事業を作ることになりました。
緊急対応に追われている現地を見て、「行政と民間が協働して、お互いのリソースを活用しながら社会課題の解決をしていく必要がある」と感じた加藤さんのとったアクションとは?
前編記事はこちらから。
【パソナの人に聞いてみた】社会問題ってどうやって解決するの?
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加藤 では、どうしようかと考えた時に、実は自分の中である程度仮説を立てていたんです。
「おそらく、皆避難して違う場所に行くことでたぶん仕事を失っている方々がたくさんいらっしゃるだろう。逆に会社の方は従業員がいなくなって会社が成り立たないことになっているだろう」という。
そこで地域の人に紹介してもらった地元企業の経営者の方や被災者の方にヒアリングしたらまさにそうで。「働きたいのに働けない人」と「人がいなくて事業再開出来ない会社」がたくさんあるのに、これをマッチングする人がいないんですよね。
実は社会的にそういうマッチングをする機能って3つしかないんです。
「人材会社」と「ハローワーク」と「国が特別にやる」ということ。
ところが、岩手県や宮城県の沿岸部はハローワークの職員が少人数で、しかも発生した多くの業務に追われていて、多忙な状況でいらっしゃって。また、地域は元々人口が少なく人材が流動化してないために、人材会社も少ない。自治体も様々な業務に追われていて。
これは民間の会社が入っていてマッチングしないと大変なことになるぞ、と。そこで事業を作ったという感じでした。
認知度がなくて最初は苦労したんですが、会社と別に「ふんばろう東日本支援プロジェクト」という就労プロジェクトを立ち上げていて、その活動を通じて出会った地域の方々とのつながりやご縁を通じて地域の社長さんやNPOと連携できるようになりました。
行政に関しては市役所や政府機関と連携していて、僕はもともと行政の政策事業コンサルティングの仕事をやっていたので、そのスキルや知見を活用して市役所や政府機関と話して、行政と連携した就労支援事業を立ち上げることが出来ました。
行政は行政で支援をしたい方向性があるし、市民団体は今の社会課題に対してどれだけ短期的に解決出来るかというのが大切で、こちらとしてはビジネスとしてある程度収益がないと持続可能性が担保されない。
そんな中で、ビジネスモデルを作り、パートナーシップを組んでいきながらプロジェクトを作っていきました。
やっていてよかったと感じる瞬間
―感謝されると嬉しい、というお話がありましたが、お二人は喜びを感じた、具体的なエピソードなどはありますか?
加藤 陸前高田市出身の山形のタイヤメーカーで働いていた方がいたんですね。パソナが立ち上げた「陸前高田での復興に関わる人材募集します」というプロジェクトを見つけてくれて、陸前高田にUターンして帰ってきてくれたんです。
彼は「陸前高田の為に何かをしたい」という強い気持ちをもっていました。
そこでビジネスの研修をして、そのあと陸前高田市内の企業で就業することになったんです。入社後、彼は全国各地を回って、販売会を実施するような、すごく活動的な良い営業マンになりました。
彼自身も僕たちのプロジェクトでキャリアが大転換しました。これはひとつの事例ですが、このようなエピソードが紹介しきれないほど沢山あります。
鹽井 学生時代にカンボジアで働いていた時にローカルスタッフの研修みたいなことをしていたんです。日本人は当たり前に感じていることが、カンボジアでは当たり前にはなってないという現状を目の当たりにし、そこで同世代として自身の経験を伝えました。
するとスタッフが泣きながら聞いてくれて、これはもっとカンボジアに広めたいって言ってくれて、気付いたらローカルのラジオ局に生出演することになりました。
ラジオでも同じような話をしたら、村の方から感想をもらったんですね。その時にもらった言葉が印象的だったんです。
「あなたのような人がこれからのカンボジアに必要なんです、だからまた帰ってきてください」って。
私は会ったこともないし、顔も見たこともないし、どんな人かわからない。当時はまだ学生でなにも力がないにも関わらず、そんな風に受け入れてもらえたことが自分の中でとても大きくて…。
だから絶対にカンボジアに帰ってこようと思うようになりました。
―自分達がいわゆる”支援する側”だったとしても、「生きてて良かった」と”支援を受ける側”の人たちに思わされることはよくありますよね。
加藤 そうですね。勉強になります、本当に。新しい価値観みたいなものを得られるますからね。
―新しい視点が、新しい幸せの形として自分の中に加わるのを感じますね。
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