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NHK受信料裁判の結末とこれから

石田 匡秀 2017年12月16日
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石田匡秀

京都大学4年、情報工学専攻。talikiのCTO。NPO法人Mielka(旧ivote関西)にてエンジニア兼デザイナーとして2年弱活動。今年4月に代表・中村の勧誘を受けてtalikiに加入。プログラミングとテラスハウスとブランデーが大好き。

2017年12月6日、最高裁判所大法廷は、公共放送であるNHKが受信契約の申込みに応じないひとに対して起こした裁判で、原告・被告の両方からなされた各上告を棄却するという判決を下しました。(いや、NHKが勝手に電波飛ばしてるだけやんなんで民放見たいだけやのに受信契約結ばなあかんねん、と思っている筆者が)判例を参照しながら、今回の裁判をQ&A形式で整理し、これからどうNHK受信契約問題と向き合えばいいかについて筆者なりの考えをまとめます。

NHK受信料裁判の結末

Q1. 「今回の上告はどのようなものですか?てかそもそも上告ってなに?笑」

A1. 「上告とは、高等裁判所での判決を不服に思った当事者が、最高裁判所でもう一度審議するように求めることです。内容は以下の通りです。」

原告(NHK)側の請求:

  1. 1.「放送法64条1項(協会の放送を受信することのできる受信設備:つまりテレビ等を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない、というもの)により、原告による受信契約の申込みが被告に到達した時点で受信契約が成立した」と主張して、受信設備設置の月の翌月である平成18年4月分から平成26年1月分までの受信料合計21万5640円の支払
  2. 2.「放送法64条1項に基づき、被告は受信契約の締結義務を負うのにその履行を遅滞している」と主張して、債務不履行に基づく損害賠償として上記同額の支払
  3. 3.「放送法64条1項に基づき、被告は原告からの受信契約の申込みを承諾する義務がある」と主張して、当該承諾の意思表示をするよう求めるとともに、これにより成立する受信契約に基づく受信料として上記同額の支払
  4. 4.被告は受信契約を締結しないことにより、法律上の原因なく原告の損失により受信料相当額を利得していると主張して、不当利得返還請求として上記同額の支払

 

被告(大学生)側の上告内容:

  1. 1.放送法64条1項は、訓示規定であって、受信設備設置者に原告との受信契約の締結を強制する規定ではない(訓示規定とは、行政庁や裁判所に対して命令ないし禁止をするのみで、その違反に対して制裁がない規定)
  2. 2.仮に放送法64条1項が受信設備設置者に原告との受信契約の締結を強制する規定であるとすれば、受信設備設置者の契約の自由、知る権利、財産権等を侵害し、憲法13条、21条、29条等に違反する
  3. 3.受信契約により発生する受信料債権の範囲を争うとともに、その一部につき時効消滅

 

Q2. 「棄却とはなんですか?結局NHKと消費者は何をすることになるのですか?」

A2. 「棄却とは、高裁の判断が間違ってないから最高裁に申立てる理由はありませんよね、ということで最終的な結論を高裁の判断とすることです。」

 

最高裁判所の出した結論:

『原告の請求のうち予備的請求2(本稿では原告側の請求3つめ)を認容すべきものとした原審の判断は、是認することができるから、本件各上告を棄却することとする。』

結局、NHKは受信設備設置者に対してNHKの存在意義や経営内容等について理解を求める活動をして消費者の合意のもと受信契約を締結することを目指さないといけなくなりました。

また放送法64条1項に合憲性が認められたので、消費者は受信設備を設置すればNHKとの間に受信契約を結ぶ義務を課せられることになりました。

 

Q3. 「消費者が受信契約の締結を頑なに拒否し続けたらどうなりますか?」

A3. 「NHKはそのような消費者に対しては裁判を起こして受信契約を強制的に結ばせるでしょう。」

判決文には以下の一文があります。

『放送法64条1項は、受信設備設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた規定であり、原告からの受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には、原告がその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め、その判決の確定によって受信契約が成立すると解するのが相当である。』

要するに、拒否し続けたところで裁判を起こされて、NHKが勝訴し、受信契約を強制的に成立させられ、それによって受信料の支払い義務が発生し、お金を払わなければならなくなります。テレビを設置したのなら素直に契約して素直に払いましょう。

 

Q4. 「私、テレビ置いてるけどNHK観ないんで月に2,280円も払いたくないんですけど?」

A4. 「無理です。テレビ置いてるってバレないように工夫しましょう。

判決文には以下の一文があります。

『(中略)このような制度の枠を離れて被告が受信設備を用いて放送を視聴する自由が憲法上保障されていると解することはできない。』

つまりNHKを絶対観ない人がいることは現在の法解釈では認められないというのです。また今回の判決では『放送をめぐる環境の変化が生じつつあるとしても、なおその合理性が今日までに失われたとする事情も見いだせない』ともされました。NHKは国民の知る権利を実質的に充足し健全な民主主義の発達に寄与することを究極的な目的としています。この目的は、テレビ以外の様々なメディアからいろいろな情報を取得することができる環境が整ってきている現状を鑑みてもなお、NHKが今の形式で存在することでかなりの程度実現されるのではないかと考えられているということです。

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WRITER

石田 匡秀

京都大学総合人間学部

talikiのCTO。NPO法人Mielka(旧ivote関西)にてクリエイターとして2年弱活動。今年4月に代表・中村の勧誘を受けてtalikiに加入。プログラミングとテラスハウスとブランデーが大好き。

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