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ゼロから分かる!カタルーニャ独立問題①

石田 匡秀 2017年12月1日
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石田匡秀

京都大学4年、情報工学専攻。talikiのCTO。NPO法人Mielka(旧ivote関西)にてエンジニア兼デザイナーとして2年弱活動。今年4月に代表・中村の勧誘を受けてtalikiに加入。プログラミングとテラスハウスとブランデーが大好き。

(出典:Carles Puigdmont氏のTwitterアカウント(@KRLS))

2017年11月11日、スペイン北東部にあるカタルーニャ自治州で、約75万人が参加するデモが起きた

このデモはカタルーニャ自治州の独立を主導したとして拘束された自治州政府元幹部の解放を求める目的で実施された。およそ1週間前の2017年11月5日、前カタルーニャ自治州首相であるプッチダモン氏がベルギー警察に出頭、逮捕されたのである。

プッチダモン氏(出典:同上)

日本だとデモで10万人超(日本人口の約0.001%)が集まれば過去最大規模だと報じられるだろう。国民性の違いもあろうが、75万人(カタルーニャ自治州人口の約10%)が集まったということから、カタルーニャが持つ独立への気持ちの強さを感じられるだろう。(余談だが、75万人というと現在の徳島県の人口とだいたい同じで、2016年末から17年始に関ジャニ∞が行ったコンサートツアー全14公演の累計動員数もまた75万人である。)

taliki advent calendar 1日目はこのカタルーニャ関連報道を楽しく見るために必要な背景知識を簡潔にまとめてお届けします。

なぜカタルーニャ自治州の住民(の一部)はスペインから独立したいのか

以下2点を押さえておけばニュースを楽しく見れるようになる。

順に見ていこう。

 

カタルーニャは一つの国だった

1137年、カタルーニャ公国は隣国のアラゴン王国と連合国家を形成した。このカタルーニャ公国が現在のカタルーニャ自治州の大元だと考えられる。連合国家を形成したとはいえ、政治はそれぞれの国で独自に運営された。

続いて1479年のことである。カタルーニャとアラゴンの連合王国に新たにカスティーリャ王国が加わった。この3国の連合王国がスペイン王国と呼ばれることになったのである。依然として政治は各国で独自に運営されていた。

この後1700年にスペイン継承戦争が発生し、カタルーニャ敗戦。今まで守られてきた独自の政治体制は失われてしまう。

 

新自治憲章に下された違憲判決

時は流れ1932年、カタルーニャ自治憲章が成立し、カタルーニャはスペインという国に属する自治州として認められた。これは1939年から始まるフランコの独裁制の元でフランコが死亡する1975年まで廃止となるが、その後民主化が進められた結果、1978年にスペイン憲法が成立、1979年にはカタルーニャ自治憲章が復活する。

さて見出しの「新」自治憲章であるが、復活した自治憲章は言うなれば「旧」自治憲章である。そう、カタルーニャでは2000年代に入って自治憲章を新しくしようという動きがあったのである。

きっかけは2000年に実施されたスペイン中央政府の総選挙である。この総選挙で96年から政権運営を担ってきた国民党が絶対過半数を獲得してから、再中央集権化の言説が急増した。今まで中央政府との交渉により拡大してきたカタルーニャの自治権が縮小されてしまうのではないか、と考えたカタルーニャ自治州政府は新自治憲章の作成を始めるのである。

2006年、新自治憲章案が国会で可決、カタルーニャ自治州で行われた住民投票により成立した。しかし国民党が新自治憲章は「スペインの一体性」に反しているとして憲法裁判所に提訴する。

2010年、憲法裁判所は新自治憲章は違憲であると判決を下した。新自治憲章にある14の条項がスペイン憲法第2条の「スペインというネーション Nación española のゆるぎない統一」に照らして違憲であるとされ、26の条項の解釈が変更された。

違憲判決がカタルーニャ州住民に与えた衝撃

スペインは立憲君主制中央集権国家であるが、17の自治州で成り立つ国家でもある。その中でカタルーニャは歴史的に特別な自治州だとされてきた。実際にそもそもカタルーニャ公国というところにルーツがあり、言語もスペイン公用語のカスティーリャ語ではなくカタルーニャ語という独自の言語を持っている。

しかしながら大昔の敗戦で独自の政治体制を失い、今では自治権こそ認められているもののそれさえ縮小されようとしている。

この違憲判決はカタルーニャ州住民に大きな衝撃を与えたとされる。それは与党である国民党と憲法裁判所の考え方が一致しており、現行スペイン憲法の枠内では自治権の拡大はもはや不可能であり、「自分たちのことは自分たちでは決められない」という現実である。

 

次回、2010年以降の展開をまとめたいと思います。

WRITER

石田 匡秀

京都大学総合人間学部

talikiのCTO。NPO法人Mielka(旧ivote関西)にてクリエイターとして2年弱活動。今年4月に代表・中村の勧誘を受けてtalikiに加入。プログラミングとテラスハウスとブランデーが大好き。

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