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【連載】カンボジアで生きるということ~西尾編~

taliki編集部 2017年10月26日
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「カンボジアで生きるということ」は、talikiが主催した、”不条理と向き合うカンボジアツアー”の参加者が、現地の大学生、子供たち、現地に住む日本人、観光客、様々な人との出会いを通して考え紡いだ言葉たちです。こちらでは毎回一部を抜粋し掲載していきます。

第一回は京都大学・西尾勇輝さん。

カンボジア人がカンボジアで生きるということ

僕は約1年前、カンボジアに行って農村に小学校を建設したことがある。

1年半、日本で資金を集め、1ヶ月カンボジアに滞在し、ほぼ毎日大工の手伝いをした。

と言っても、このプロジェクトに参加したのは面白そうと思ったからで、カンボジアにもボランティアにも全く興味がなかった。

が、次第にカンボジアになぜ小学校が必要なのか、必要なのは小学校なのか、などと考えるようになった。

最後には、カンボジアは本当にいい国になって欲しい、国としても最貧困国から抜け出して欲しいし、特に貧困層の人には早く満足な暮らしができるようになって欲しいと思うようにまでなった。

ツアー中、農村出身の人からこんなことを聞いた。

選挙の前になると、

「ここに道路を作ってあげますから、病院を建ててあげますから、学校を建ててあげますからぜひ私を」

と言って支持を集めるが、実際にそれらが作られることはない。

なぜなら、そこに住んでいる人以外の人にその存在が知られることはほとんどないからだ。

道路を作っても名声が得られないならやっても意味がない。

それで都会はどんどん発展しても、田舎が取り残されるのだそうだ。

ツアーが終わった次の日には、バンをチャーターして1日観光をした。

タイとの国境にあるプレアビヒア寺院。

カンボジアのピラミッド、コーケー。

僕達が拠点にしていたシェムリアップからコーケーまで120km、さらにコーケーからプレアビヒアまで140kmもある。

移動中、外の景色を眺めていると、ぽつぽつと農村が見えた。

特にシェムリアップから離れていくほど機械らしいものが減り、森や空き地の中に粗末な家、ガリガリの水牛が何頭かで村が構成されていた。

電気は通っていなさそうだった。

ふと、ここに住む人たちが人生の中で一番遠くまで行ったのはどこなのだろう、と思った。

シェムリアップまで行ったことがある人はあまりいないのではないか。

移動手段も情報もほぼないと言ってもいい環境で暮らしている人たちは、社会からかなり隔絶されていた。

支援の心理面での難しさ:介入、誰のビジョン

ツアー中、カンボジアに住む日本人に会って話を聞く中で、カンボジア人は自分たちで積極的に国を良くしていこうという感じが弱い、という話を何人かから聞いた。

国民性が乞食だからね、とまで言う人もいた。

カンボジアと似たような歴史を経験したルワンダとは対照的だと。

そういえば、小学校が完成したとき、校長先生から「また建ててね」と言われた。

ちょっと面食らった。

特に深い意味はないのかもしれないし、今行政ではこのあたりをカバーできないからあなた達に頼るしかないんです、という意味なのかもしれないが、あれが乞食根性なのかなと一瞬思った。

じゃあ支援してものれんに腕押しだから見切って放っとくべき?

それとも、教育とかを頑張れば意識が向上するかもしれない?

という2つの意見の間を常に行ったり来たりしている。

僕がこういう国になったらいいだろうなと思っても、僕がカンボジアで生きていくわけではないから、現地の人がそう思わなかったら誰が得をする?

と考えて自信をなくすことがよくある。

自分の国のことなんだから自分たちで自分たちの生きていきたいような国にしなよ。

とも思うが、そんなこと考えることができないほど生活に困っていたり、考えられるほどの教育を受けていなかったりする。

だからどこまで介入していいのか難しい。

ただ、僕は全く何もできないのかというと、そうでもないとも思う。

根拠はないけど。

という2つの考えに片足ずつ突っ込みながら過ごしていたところ、ツアー後しばらくして知人から、戦後の日本だって依存しまくり支援してもらいまくりで、それでやっと今の日本になったんだよと言われた。

もう少し、介入しても大丈夫かな。

まあ、介入は介入でも現地の人たちの話をもっと聞いて寄り添えば、お互いが目指すビジョンが見えるかもしれない。

あと、もっと勉強しなきゃ。

(この旅行中、デング熱で入院した。)

WRITER

taliki編集部

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社会課題を身近に、楽しく、カジュアルに伝えていくことをモットーにしつつ、真剣に、追い込まれながら記事をアップしています。記事に関する感想、疑問、その他コメントは下のお問い合わせからお送りいただけます。

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