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「都会がイイ」って本当?農村的なマーケティングが面白い!

taliki編集部 2017年8月13日
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あなたは「自分の価値観で生きる」としたら、都会を選びますか?地方を選びますか?

結論を言えば正解なんてなくて人それぞれです。

 

当たり前と言えば当たり前のことかもしれませんが、実際には大卒の大部分は自分の故郷よりも都会へと進んでいます

僕もそんな人間のひとりで、大学を卒業して5年半ほど大阪や東京で化学メーカーの社員として働いていました。

大学時代はサークルなどで多方面に活動していましたが、「就職活動」というものが始まり、社会でやりたいこともハッキリとしないまま、企業に就職しました。

はじめは、大学で学んでいた公共政策や社会学系の分野とは関係がない進路を選んでいる自分になんとなく疑問を抱いていました。

しかしNGOや公務員になるための努力をしてきたわけでもなく、親の期待や社会常識に捉われて大胆な発想もできず、民間企業への就活という道を選びました。

 

大学で文系だった僕には、化学製品をつくることにも、それをたくさん売ることにも興味はなかったのですが、いつか役立つであろう「ビジネスの基本」は学びたいと思いメーカーで働くことに決めました。

 

メーカーでの仕事は貿易実務や予算管理が主で、ビジネスの基本を知るには良い経験ができました。

東京での仕事は世界と繋がりを感じられ毎日が刺激的で若い時分には面白かったです。

本当に良いものをつくって世界に流通させようという日本企業のレベルの高さは今でも尊敬しています。

 

けれども、働けども働けども社会が良くなるわけではないし、仕事の成果も会社の成長のためというよりも、社内の派閥争いのために使われる場面も多くて、だんだんと自分がすり減っていくのを感じました。

仕事の量が多いことが苦というよりも、休日に自分の気力が回復するものが何もなかったのが東京時代につらかった部分です。

都会ではお金をかけてストレス発散することが当たり前で、いつしかストレス発散のためにお金を稼いでいるようなおかしな感覚にさえ陥っていました。

 

東京から地方へ

けれども、2011年に東日本大震災での支援活動をはじめてから、美しい景色が残る東北を訪れる度に日本の地方への関心が高まりました。

そこで、自分が本当にやりたかった、大学で学んできたようなことをしようと、入社5年目でメーカーを退職し、大学時代を過ごした京都に戻り、まちづくりの仕事に関わり始めました。

 

僕が地域おこし協力隊として活動している京都府南丹市は、東京23区とほとんど同じ面積ですが、人口はわずか3万3千人。

僕の中で田舎のイメージといえば、自然が綺麗、だけれど交通や医療は不便で、なにより若者にとっては面白い仕事や遊びがない場所、といったものでした。

たしかに電車の本数は少ないし、地元で買える物も限られますが、慣れればほとんど苦にはならなくなりました。

むしろ、季節の変化の美しさや、人や地域とのかかわりの濃さに慣れ、先進的な取り組みが多いことを知り、面白い仕事がいくらでもあることがわかると、

都会よりも田舎の方が先進的で面白いと感じてきました。

南丹市

 

住民ひとりひとりが地域のことを考えている地方の空気には、被災地で感じたような「生きるためのエネルギー」があり、誰かのために頑張ろうと働き甲斐のある仕事にたくさん出会えました。

 

農村ならではのマーケティング

僕が今メインにしている事業では、都市部の大学生が農村にやってきて、集落の活性化に取り組んでいます。

農村というのはいわば少子高齢化の先進地で、今の日本の姿を体現した最も面白い部分です。

そこで多分野の大学生がコラボして、これまでになかったアプロ―チを編み出して集落を活性化させていきます。

集落のひとりひとりと仲よくなって、一軒一軒あがりこむことで、住民の本音を聞き出します。

 

僕は客観的に見てどうしたら集落の課題が解決できるのかを考えてしまいますが、ここに来ている学生は少なからず「どうしたら自分が楽しめる農村になるか」を大切にしていて、そうした自己が中心にあるプロジェクトの方が、結果的には集落の人の心も動かしていきます。

これは、大学生が自己中心的だからとか最近の若者の考えが変わったからとかではなく、農村という社会においては、客観的な説得力よりも当事者意識の高さの方が重要であるために、そういった思考パターンが学生組織の中で伝えられているのだと思います。

主観に左右されずにマーケティングを駆使して「どうしたら儲かるか」を考えるのが都会的な手法だとしたら、自分が欲しい商品やサービスを生み出すのが農村的な手法なのかもしれません。

 

 

ともかく、農村のあちこちで感じられるのは、自分の地域や家族についての主体者意識の高さです。

都会では税金で行われていることが、田舎では住民が当たり前のものとして行っています。

 

別に都会がだめで農村がよいと賛美したいのではなく、これまでの農村は狭い価値観に閉ざされてきました。

たとえば、田舎は時代錯誤なほどに封建的男性社会でした。「しきたり」が大事であり「自分らしさ」というものは二の次でした。

けれども、ここ20年ほどで、都会から地方への移住が静かに加速し、田舎で自己実現を目指す人が増え、その成果が現れてくると、空気観も一変して自分らしく生きることがしやすい空気になりました。

地元の若者よりも、移住者(Iターン)や、一度都会に出て戻ってきた人々(Uターン)はとくにそのことを実感しています。

都会で暮らしていると気づかないような小さな変化です。

 

多くの人がこのことに気が付いたとき、バブルのような東京一極集中の時代は終わり、

都会がいい人と、地方がいい人

それぞれが活躍し暮らしやすい社会が来るのだと思います。

 

話し手:松田章宏(地域おこし協力隊)

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taliki編集部

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